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バランス重視の傾向強いDeNA 今年も1位は高校生を指名か【球団別ドラフト指名傾向】

2023 10/23 11:00SPAIA編集部
DeNAの松尾汐恩,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

高校生が増えてきた1位指名

今年は10月26日に開催されるプロ野球ドラフト会議。本番まで1週間を切り、各球団の編成担当は当日に向けて候補選手の最終確認、絞り込みに追われていることだろう。

本記事ではそのドラフトに向けてSPAIAに掲載している「ドラフト歴代指名選手一覧」を使用し、球団ごとにどのような指名傾向があるのか、過去のドラフトから探ってみたい。第7回はDeNA編。

【ドラフト歴代指名選手一覧ページはこちら】

はじめに、全体の指名傾向を見ていく。2004年以降、DeNAは合計155人(育成含む)の選手を指名しており、そのうち投手が88人で全体の約57%と6割近くを占めている。高校生、大学生、社会人(独立リーグ含む)の割合は、それぞれ約39%、31%、30%と、高校生の指名が多い傾向にある。

2004年以降のポジション、候補選手別指名人数,ⒸSPAIA 2004年以降の各分類別指名人数


次に、より具体的に近年の傾向を探るため、2013年以降の過去10年間において、上位指名(3位以上)を中心にどのような傾向があるのか見ていく。

まずは1位指名。DeNAは2013年からの10年間で5度単独指名、5度競合と半々の結果になっている。昨年は9球団が事前公表する中、沈黙を貫いて松尾汐恩の単独指名に成功したように、うまく競合を回避する傾向にある。

競合した場合の「くじ運」はというと、2021年に小園健太を引き当てたが、1勝4敗とあまり良くない。ただ、1度外した後の抽選では3勝1敗と高確率で当たりくじを引いている。

2013年以降の1位指名選手,ⒸSPAIA 過去10年のドラフト1位


ポジション別でみると、投手が8人で最も多く、野手は遊撃手の森敬斗、捕手の松尾汐恩とセンターラインの選手を指名とオーソドックスな傾向だ。2017年までは高校生への入札は2013年の松井裕樹のみだったが、2018年以降は4度入札(※)。戦力が整ったためか、将来へ投資する傾向に変わりつつある。

※2018年は小園海斗の抽選を外し、大学生の上茶谷大河を獲得

2位は一転して大学生、社会人のみ

ここからは上位指名(3位以上)について見ていく。1位指名は初回入札が高校生重視に変わりつつあったが、2位では逆に10年間で大学生、社会人しか指名していない。1位と2位でうまくバランスをとろうとしているのがうかがえる。3位以上で高校生を2人指名したのは、2021年のみとなっている。

投手と野手のバランスを見ると、「投手2・野手1」の年が9度、「投手1・野手2」は昨年の1度のみ。「投手3」、「野手3」といった極端な指名はなく、ここでもバランスを意識しているようだ。

過去10年のドラフト3位までの指名選手,ⒸSPAIA 過去10年ドラフト3位までの指名選手(青色で塗られている選手は大学生、社会人)


10年間で野手は計11人指名しており、その内訳は捕手2人、内野手8人、外野手1人。センターラインを中心に内野手を多く指名しており、外野手は基本的に4位以下と、1位と同様に典型的な指名傾向となっていた。

以上よりDeNAの指名傾向をまとめると、以下の通りとなる。

・全体では高校生の指名が多い
・1位の入札も近年高校生重視に
・2位では大学生、社会人の即戦力系
・バランス重視、偏った指名は近10年なし

かなりオーソドックスな戦略で指名を展開しているDeNA。近年Aクラスの常連となっているのも、このドラフト戦略が功を奏しているからと言える。傾向通りなら今年の1位指名は高校生が有力となるが、ここにきて例年とは違う戦略を見せるのか注目だ。

※選手のポジションは指名当時

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