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ヤクルトの1位指名は競合上等 今年の上位指名は投手独占の気配も【球団別ドラフト指名傾向】

2023 10/21 11:00SPAIA編集部
ヤクルトの奥川恭伸,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

1位は投手が基本線?

今年は10月26日に開催されるプロ野球ドラフト会議。本番まで1週間を切り、各球団の編成担当は当日に向けて候補選手の最終確認、絞り込みに追われていることだろう。

本記事ではそのドラフトに向けてSPAIAに掲載している「ドラフト歴代指名選手一覧」を使用し、球団ごとにどのような指名傾向があるのか、過去のドラフトから探ってみたい。第3回はヤクルト編。

【ドラフト歴代指名選手一覧ページはこちら】

はじめに、全体の指名傾向を見ていく。2004年以降、ヤクルトは合計138人(育成含む)の選手を指名しており、そのうち投手が78人で全体の約57%と半分以上を占めている。高校生、大学生、社会人(独立リーグ含む)の割合は、それぞれ約33%、34%、33%とほぼ均等に指名していた。

2004年以降のポジション、候補選手別指名人数,ⒸSPAIA 2004年以降の各分類別指名人数


次に、より具体的に近年の傾向を探るため、2013年以降の過去10年間において、上位指名(3位以上)を中心にどのような傾向があるのか見ていく。

まずは1位指名について。ヤクルトは2013年からの10年間でなんと8度も競合している。昨年の単独指名は2016年以来6年ぶりだった。とにかく競合上等で、一番評価した選手に入札する姿勢が見てとれる。ただ、抽選で当たった確率は1勝7敗(再指名も入れると4勝9敗)と低い。ちなみに、過去をさらに遡ると、2009~2015年まで7連敗を喫している。

2013年以降の1位指名選手,ⒸSPAIA 過去10年のドラフト1位(青色で塗られている選手は投手)


また、ポジション別でみると、村上宗隆を獲得した2017年以外、投手を指名している。2015年は髙山俊(外野手)、2018年は根尾昂(内野手)の抽選を外しての投手指名となったが、それにしても偏っている。突き抜けた野手がいない限りは、基本的に1位は投手という方針なのだろう。

定期的に上位を投手で独占

ここからは上位指名(3位以上)について見ていく。1位指名は投手に重きを置いているヤクルトだが、2位はというと10年中半分の5度は野手を指名していた。3位まで範囲を広げると、「投手2・野手1」が7度、「投手1・野手2」は昨年の1度だけ。投手が上位を独占した年が2度もあった。ちなみに、2度とも4位まで投手を指名している。

過去10年のドラフト3位までの指名選手,ⒸSPAIA 過去10年ドラフト3位までの指名選手(青色で塗られている選手は投手)


では、数少ない野手の指名はどうなっているかというと、その内訳は捕手2人、内野手3人、外野手4人だった。こちらも珍しく外野手が内野手よりも多い。外野手は他のポジションからのコンバートも多く、優先度が低いのが一般的。ヤクルトは基本的に評価した選手は迷いなく高い順位で指名する傾向にあると言えそうだ。

以上よりヤクルトの指名傾向をまとめると、以下の通りとなる。

・高校生、大学生、社会人バランス良く指名
・1位は競合上等で評価した選手を指名
・上位は「投手2・野手1」が基本型
・定期的に投手が上位指名独占
・高評価なら高順位で指名

今シーズン投手が振るわなかった現状を考えると、今年の1位指名は投手が濃厚だろう。豊作の大学生投手から競合覚悟で一番評価の高い選手を選択するのではないか。例年の傾向通りなら2位は野手を指名する可能性が高いが、今年は投手の可能性も捨てきれない。2019年以来の投手ドラフトとなるか注目だ。

※選手のポジションは指名当時

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