「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

単独指名多い西武 今年も豊作の大学生投手から一本釣り狙いか【球団別ドラフト指名傾向】

2023 10/22 06:00SPAIA編集部
西武の隅田知一郎,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

1位は投手重視で単独指名の傾向

今年は10月26日に開催されるプロ野球ドラフト会議。本番まで1週間を切り、各球団の編成担当は当日に向けて候補選手の最終確認、絞り込みに追われていることだろう。

本記事ではそのドラフトに向けてSPAIAに掲載している「ドラフト歴代指名選手一覧」を使用し、球団ごとにどのような指名傾向があるのか、過去のドラフトから探ってみたい。第4回は西武編。

【ドラフト歴代指名選手一覧ページはこちら】

はじめに、全体の指名傾向を見ていく。2004年以降、西武は合計144人(育成含む)の選手を指名しており、そのうち投手が80人で全体の約56%を占めている。高校生、大学生、社会人(独立リーグ含む)の割合は、それぞれ約35%、38%、27%と高校生、大学生がやや多めとなっていた。

2004年以降のポジション、候補選手別指名人数,ⒸSPAIA 2004年以降の各分類別指名人数


次に、より具体的に近年の傾向を探るため、2013年以降の過去10年間において、上位指名(3位以上)を中心にどのような傾向があるのか見ていく。

まずは1位指名について。西武は2013年からの10年間で単独指名が6度、競合が4度と一本釣りの方が多い。ただ、最近は競合することも多く、昨年は蛭間拓哉の指名を事前に公表し、4年ぶりに単独指名に成功した。候補選手や補強ポイントから、戦略的にうまく使い分けているのだろう。

抽選となった場合の「くじ運」は1勝3敗(再抽選も含めると2勝3敗)。2009、2010年に6球団競合の末、菊池雄星と大石達也を2年連続で引き当てたため、勝率が高い印象があるが、最近はそこまででもないようだ。

2013年以降の1位指名選手,ⒸSPAIA 過去10年のドラフト1位(青色で塗られている選手は投手)


ポジション別でみると、投手が7人、捕手、内野手、外野手が1人ずつ。2020年も最初の入札では投手の早川隆久を指名しており、基本的には投手を1位指名する傾向にある。また、2013年の森友哉のように、歴代の正捕手は1位指名(自由獲得枠含む)した選手を着実に育て上げているのも特徴的だ。

異例中の異例だった昨年の野手上位独占

ここからは上位指名(3位以上)について見ていく。1位指名は投手重視だった西武だが、2位でも10年のうち半分以上の7度、投手を指名していた。3位になると野手が6人と、さすがに野手の数が上回る。1、2位合計の野手指名数も6人となっており、源田壮亮や外崎修汰ら西武の3位指名野手は成功すると言われているが、3位で野手を指名する割合が高いのもその要因の一つだろう。

また、年度ごとの上位3人の「投手・野手」人数割合を見ると、「投手2・野手1」が最多で5度、「投手1・野手2」が2度、「投手3」が2度、「野手3」が1度だった。投手重視の傾向ではあるが、特に決まった型はなく、昨年の上位3人野手指名のように、補強ポイントに合わせて臨機応変に指名している。

過去10年のドラフト3位までの指名選手,ⒸSPAIA 過去10年ドラフト3位までの指名選手(青色で塗られている選手は投手)


10年間で12人指名している野手の内訳は、捕手3人、内野手7人、外野手2人。センターラインを中心に、山川穂高、渡部健人と4番候補も指名している。一方で、外野手は昨年指名した蛭間拓哉と古川雄大の2人のみ。外野手を上位指名すること自体、西武では珍しいのだが、上位2人とも外野手を指名したのは異例中の異例だったと言える。

以上より西武の指名傾向をまとめると、以下の通りとなる。

・高校生、大学生が中心
・1位は単独指名狙う傾向
・上位は投手重視
・外野手は基本4位以降
・補強ポイントに合わせた指名

近年は打線の破壊力にかけ、得点力不足が課題となっている西武。ただ、上位では投手重視の傾向にあるため、今年のドラフトでも1位は豊作の大学生投手から一本釣りできる選手に狙いを定めているかもしれない。昨年は上位で野手を3人指名しており、今年は例年通り投手重視で指名する可能性が高そうだ。

※選手のポジションは指名当時

【関連記事】
西武のドラフト補強ポイント 佐々木麟太郎不在で1位指名は将来のエース候補?即戦力外野手?
日本ハムは「No.1」指名も一本釣り傾向 今年は4年ぶりに競合覚悟か【球団別ドラフト指名傾向】
ヤクルトの1位指名は競合上等 今年の上位指名は投手独占の気配も【球団別ドラフト指名傾向】