若手の突き上げが乏しかった投手陣
昨季の5位から巻き返すべく、吉井理人新監督が就任したロッテ。クライマックスシリーズの最後のひと枠をかけた楽天とのレギュラーシーズン最終戦に勝って2位となり、2年ぶりのCS進出を決めた。
3連覇を果たしたオリックスとのCSファイナルステージでの戦いにも注目が集まるが、10月26日に開催されるドラフト会議は、来季に向けてチームの戦力を強化する最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含めロッテのドラフト補強ポイントを考えていく。
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今季のチーム防御率はリーグ5位の3.40だったロッテ投手陣。先発防御率も3.43で同4位だったが、小島和哉と種市篤輝が10勝、20試合に先発したメルセデスに加え、先発に再転向した西野勇士と佐々木朗希も安定した投球を披露。シーズン終盤には助っ人のカスティーヨも好投を見せるなど、陣容は数字ほど悪くはなかった。
ただ、美馬学と石川歩はすでに30代後半で、いつまでパフォーマンスを維持できるかわからない。また、佐々木朗希以外に一軍で成績を残した若手も見当たらない。朗希と同世代の大学生投手が豊作の今年のドラフトで、層を厚くする選択を取るのもありだろう。
一方のリリーフ陣は、抑えの益田直也はやや安定感に欠けながらも36セーブをマーク。ペルドモ、坂本光士郎、日本ハムから加入した西村天裕ら新戦力も活躍し、ブルペンは順調に整備された。
ただ、中心選手に30代が多く、若手の突き上げに物足りなさも感じる。早急に補強が必要な状況ではないが、次期ブルペンリーダーとなれるような素材をドラフトで確保しておきたい。
意外と穴が多い野手陣
捕手では田村龍弘が67試合、佐藤都志也が52試合と2人でスタメンを分け合い、昨年ルーキーながら76試合に出場した松川虎生は二軍で研鑽を積んだ。一見すると、問題ない構成のようだが、田村、佐藤ともに一軍で秀でたものは見せられておらず、松川は二軍でも打率.233とまだまだ時間がかかる。大学生・社会人の捕手を上位指名し、競争を促すのも一手だろう。
続いて内野手。一塁は外野手登録の山口航輝がチーム最多の61試合にスタメン出場したが、レギュラーは定まらず6人が起用された。三塁は安田尚憲が101試合でスタメンを張ったが、本塁打は9本のみ。 DHで起用された巨人から加入のポランコが本塁打王を獲得する活躍を見せたが去就は不透明と、長距離砲の補強は必須な状況となっている。
二遊間では中村奨吾が今季も二塁の絶対的レギュラーとして137試合に出場。一方、不安を抱えていた遊撃手は藤岡裕大とルーキーの友杉篤輝をうまく使い分け、攻守に安定した成績を残すことに成功した。中村のパフォーマンスに陰りが見えるのが不安材料だが、即戦力は必要なさそう。ポテンシャルの高い選手がいれば指名を検討する形となるだろう。
外野手は昨季レギュラーだった髙部瑛斗がケガで一年間不在、荻野貴司も50試合の出場にとどまった。そんな中、36歳の角中勝也が86試合で打率.296と復活。さらに、岡大海、和田康士朗、巨人から加入した石川慎吾がキャリアハイと言える成績を残し、穴埋めに成功した。このドラフトで即戦力の必要性は感じないが、レギュラーが高齢化しつつあるため、素材の良い選手はしっかり確保しておきたい。
1位指名は豊作の大学生投手を優先?
以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。
1.将来のエース候補
今季は運用で何とかやりくりしていた投手陣に、軸となる投手を加えて投手王国の礎を築きたい。今の先発陣にいないタイプでは、最速158キロ左腕の東洋大・細野晴希や、186センチの長身ながら安定感抜群の国学院大・武内夏暉らが有力候補。青学大・常廣羽也斗、中央大・西舘勇陽らもエース候補としてリストに挙がるだろう。
2.大砲候補の内野手
将来30発以上が期待できそうな選手が山口航輝1人と寂しい状況。大砲候補は是非とも指名しておきたい。高校生なら広陵高・真鍋慧、鹿児島城西高・明瀬諒介がプロでも長距離砲として活躍できるパワーを持っている。大学通算19本塁打を放っている慶應大・廣瀬隆太も候補に入れておきたい。
3.打力ある二遊間候補
現状の戦力では、大きな弱みとなっている捕手も補強ポイント。守備なら即一軍で通用しそうな上武大・進藤勇也は今のロッテに最適だが、1位でないととれない可能性が高い。3位以降で狙うなら、強肩強打でプロからの評価も高い西濃運輸・城野達哉が即戦力として期待できるだろう。
今季は2位に滑り込んだロッテだが、その陣容は決して楽観視できるものではない。2025年に常勝軍団となるためには、投手、野手ともに軸となる選手が欲しいところ。昨年同様、適材適所の選手を獲得し、チーム全体の底上げを図るドラフトとしたい。
※表の年齢は2023年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月13日時点)
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