安定感に欠けた先発陣
ソフトバンクは昨オフ大型補強を敢行し、今季3年ぶりのリーグ優勝を目指したが、夏場に54年ぶりの12連敗を喫するなど急失速。なんとかCS圏内の3位に滑り込んだが、3連覇を成し遂げたオリックスの独走を許す結果となった。
10月26日に開催されるドラフト会議は、来季に向けてチームの戦力を強化する最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含めソフトバンクのドラフト補強ポイントを考えていく。
【過去のドラフト指名選手一覧はこちら】
今季はリーグ4位のチーム防御率3.27と投手陣が苦しんだ。特に先発陣は2桁勝利を挙げたのが有原航平のみ。20試合以上に登板したのも石川柊太と42歳の和田毅の2人だけと、台所事情が苦しかった。
育成出身の4年目左腕・大関友久、来日5年目のスチュワート・ジュニアと若手も育っているがまだまだ人材不足。ドラフトでは上位指名を割いて、将来先発ローテーションの軸となってくれる投手を獲得しておきたい。
一方のリリーフ陣は、抑えのオスナを中心に津森宥紀と松本裕樹が50登板以上、甲斐野央、ルーキーの大津亮介、田浦文丸が40登板以上を記録。セットアッパーのモイネロがシーズン途中で離脱するも、藤井皓哉を中継ぎに再転向してしのぐなど、層の厚さを見せた。
1年契約のオスナの去就は不透明だが、育成選手も大量に抱えており、補強を焦るような状況ではない。ドラフトでは中位以降での補充で十分だろう。
野手はセンターと打力ある二遊間候補が不足
捕手では正捕手の甲斐拓也が139試合に出場。ただ、打率.202と重労働の捕手とはいえ打力は物足りない。谷川原健太、渡邉陸、牧原巧汰と打撃に魅力のある選手もいるが、他のポジションでの出場も多く、扇の要という感じはしない。陣容的には揃っているが、他の補強ポイント次第では、正捕手候補の上位指名もありだろう。
続いて内野手。一、三塁は外野手登録の中村晃と栗原陵矢がレギュラー。外国人補強は不発に終わったが、2020年のドラフト1位・井上朋也が終盤戦でプロ初本塁打を放つなど、大器の片鱗を見せた。他にも若手が複数揃っており、急いで補強する必要はないだろう。
二遊間は三森大貴と今宮健太がレギュラーを務め、牧原大成、川瀬晃、野村勇らユーティリティプレーヤーも控えており、即戦力は必要ない。昨年ドラフト1位でイヒネ・イツアを将来の正遊撃手候補として獲得しており、今年も打撃が売りの高校生遊撃手などを素質買いしての指名があるかもしれない。
外野手は柳田悠岐と近藤健介の絶対的レギュラー2人が両翼とDHで起用された。その一方で、センターは牧原、周東佑京ら7人がスタメン起用されるレギュラー不在の状況。めぼしいセンター候補がいれば是非とも指名しておきたいところだ。
上位指名は大学生の先発投手とセンター候補
以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。
1.将来のエース候補
1位指名はやはり先発投手だろう。豊作と言われる大学生投手からの1位指名が有力視される。潜在能力の高さを重視するソフトバンクなら競合してでも東洋大・細野晴希を指名と予想する。左腕ながら最速は158キロ、コントロールが不安定だが、球界のエースとなれる逸材だ。青学大・常廣羽也斗、専修大・西舘晃汰ら九州出身の投手も有力候補だろう。
2.柳田2世のセンター候補
長年主軸を張っていた柳田も35歳で、そろそろ後継者を探さなければならない。上位候補では山梨学院大・宮崎一樹の身体能力がピカイチ。俊足強肩はもちろんパワーも併せ持つ。他の候補は巧打者タイプとなるが、山形中央高・武田陸玖、青学大・中島大輔らが狙い目だ。
3.打力ある二遊間候補
将来性の高い二遊間の候補も指名しておきたい。上位候補では上田西高・横山聖哉が強肩強打の遊撃手として評価が高い。また、大学通算19本塁打を誇る慶應大・廣瀬隆太も長距離砲として注目されているが、セカンドも守ることができ、浅村栄斗(楽天)のような選手に育つ可能性を秘めている。
外国人やFAなど毎年のように大型補強を行い、戦力は維持できているが、主力にまで成長する若手は近年あまり出てきてない。投手、野手ともに高齢化が進む中、ドラフトでは既存戦力の壁を突き破るような有望株の獲得を目指したい。
※表の年齢は2023年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月13日時点)
【関連記事】
・楽天のドラフト補強ポイント 松井裕樹メジャー挑戦意向で今年も即戦力投手優先か
・西武のドラフト補強ポイント 佐々木麟太郎不在で1位指名は将来のエース候補?即戦力外野手?
・日本ハムのドラフト補強ポイント 先発3本柱解体危機に新庄剛志監督も即戦力投手を要望?