【投手部門】東克樹(DeNA)
プロ野球OBの糸井嘉男氏が独自に月間MVPを選ぶ恒例企画。投手から野手に転向し、通算1755安打を放った糸井氏が、「超人」ならではの視点で9・10月度のセ・リーグ投手、野手を1人ずつ選出した。
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セ・リーグの投手部門はDeNAの東克樹。9・10月は6試合に登板し、5勝1敗、防御率1.71の好成績を残した。奪三振率は8.75、与四球率は0.38と秀逸の内容。今シーズン通算でも16勝3敗で最多勝と最高勝率の2冠に輝いた。
「断トツの5勝を挙げて投球回もトップということで、彼以外見当たらないですね」と絶賛。「ルーキーの時から良かったですね。そんなに背が高いわけじゃないですが、ストレートと変化球のコンビネーションは素晴らしいです」と2018年の新人王左腕と対戦した印象を明かした。
現役時代の通算対戦成績は、糸井氏が東に対して13打数5安打の打率.385と結果を残しているが、仮に打席に立った場合の狙い球を聞くと「まっすぐを狙います。コントロールも良いし、変化球が来たら本能に任せるだけです」と直球狙いを明かす。
「負けも少ないですし、16勝は本当にすごいなと思います。怪我しても手術に挑んで復活を遂げた選手は応援したい気持ちになりますね」とトミー・ジョン手術から復活した左腕を手放しで称えた。
【打者部門】佐藤輝明(阪神)
セ・リーグの打者部門は阪神・佐藤輝明。9月13日の巨人戦で19号満塁弾を放ってマジック1とすると、優勝を決めた翌14日の巨人戦で、左打者では史上初の新人から3年連続20本塁打となる20号2ランをバックスクリーンへ放り込むなど、9・10月は打率.356、9本塁打、29打点をマークした。
近畿大学の後輩にあたり、昨年までチームメイトとして、同じ左打ちのスラッガーとして佐藤に目を掛けてきた糸井氏は「何と言っても優勝決定の試合と、その前日のマジック1にした試合でのホームランは感動的でしたね。解説で甲子園球場にいたんですが、鳥肌が立ちました。ああいうところでなかなかホームランを打てないし、スーパースターの資質ですよ。彼はまた成長しました」と声を大にする。
今季は6月が打率.179、7月が.191と不振だったが、8月は打率.300、9・10月は打率.356と右肩上がりだった。その要因を「ボール球にバットが止まるようになりましたね」と糸井氏は解説。復調した裏には連日の早出特打があったと明かす。
「早出をやるようにしてるって言ってましたね。早く行って調整したことが良い方向に出たんじゃないかと思います」。SPAIAのインタビューでは糸井氏がアドバイスしたことも明かしていたが、「いやいや、それは大してしてないです」と謙遜した上でさらなる期待も口にした。
「まだまだ彼の持っているポテンシャルからしたら出せてない部分があります。この8月、9月で彼自身、掴んだものがあると思うんで、来年が楽しみですね。30発も絶対クリアできるし、3割も残せるんで、球界を代表するバッターになると思います」
かわいい後輩を思う糸井氏の熱弁はいつまでも止まらなかった。
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