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元オリックス「都立の星」鈴木優さんが明かす東晃平のブレイク秘話「アメリカで会える日が楽しみ」

鈴木優さん,本人提供
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ウェイトトレと1日2回の昼ご飯で体を大きくした東晃平

プロ野球のオリックス、巨人でプレーし、2022年オフに引退後はアメリカで暮らしている鈴木優さん(26)がSPAIAのオンライン取材に応じ、古巣の3連覇を喜ぶ胸の内を明かした。

「僕が抜けて2年になりますが、一緒にプレーした選手やお世話になった選手、同級生や後輩も多いので本当に嬉しいです。昨年まではチャレンジャーでしたが、今年は王者として貫禄がありました。あとはCS、日本シリーズを勝ってこそ、やっと優勝を喜べると思うんで頑張ってほしいです」

鈴木さんは東京都立雪谷高のエースとして3年夏の東東京大会ベスト8。「都立の星」と騒がれ、2014年ドラフト9位でオリックスに入団した。2020年7月1日の西武戦でプロ初勝利を挙げ、2021年オフに巨人に移籍したものの一軍に上がることはできず、ユニフォームを脱いだ。

オリックスの二軍でトレーニングに励んでいた頃、ともに汗を流していたのが今季ブレイクした東晃平だ。神戸弘陵高から2017年育成2位で入ってきた3歳下の後輩は、今季彗星のように現れ6連勝。昨季のプロ初勝利も合わせて球団記録を更新するプロ入り以来無傷の7連勝をマークしている。

「二軍で一緒に先発ローテーションで回ってたし、今年は勝つたびに毎回LINEで連絡してました。元々制球に困るタイプではなくて試合を作る能力は高い投手でしたが、今年は球速が上がったのが大きいと言ってましたね」

その最大の要因が地道に続けてきたウェイトトレーニング。山岡泰輔や山下舜平大らの取り組みを学び、細かった体が大きくなったおかげで球速は最速155キロまで伸びた。

体作りへの意識は以前から高く、鈴木さんは「入ってきた時は細かったんですが、昼ご飯に2回行ったりしてました。お昼に行って、1、2時間したらまた行くみたいな。ケガもあったけど、やるべきことをやっていたら報われるんだなと思いますね」と振り返る。

文字通り同じ釜の飯を食ってきた仲だからこそ、自分のことのように喜ぶ。「オフに自主トレがてらアメリカに来いと言いました。来たら存分にお祝いしてあげます」と再会を心待ちにしている。

山本由伸は「西海岸に来てくれたら」

2007年から2009年のダルビッシュ有(当時日本ハム)以来14年ぶりとなる3年連続15勝を挙げた山本由伸とも連絡を取り合う仲。「ノーヒットノーランをした時や、優勝した時も連絡しました。WBCの疲れも感じさせず圧倒的な成績を残すのが彼の凄さ。去年の成績に満足せず、フォームを変えて新しいことに取り組み続けているからこそ良くなってますね」と絶賛する。

今オフにはメジャー移籍の噂も囁かれている。「もし、西海岸のチームに来てくれたらしょっちゅう会えるので楽しみですね」とロサンゼルス在住の鈴木さんは笑った。

打率リーグトップの頓宮裕真も同い年。宗佑磨は同学年で同期入団のため特に仲が良い。「宗はチャンスに強いんで、これからCSや日本シリーズの大事なところで打ってくれると思います」と期待をかける。

長谷川滋利氏から移住生活のアドバイスも

鈴木さんは美里夫人、昨年11月29日に生まれた長男・希碧(のあ)くんとともに家族3人で渡米。平日の午前中は語学学校に通いながら、メジャーリーグ観戦に訪れた様子などをYouTubeで公開している。

「日常会話は問題ない程度に話せるようになりました。ロスは気候が最高ですね。夏場でも30度を少し超えるくらいだし、雨はほとんど降らず、快晴の日が多いんです。この生活に慣れすぎたら良くないと思うくらい本当に満足しています」

学生ビザで仕事はできないため、貯えを取り崩しながらの生活。「治安の良い地域を選んだので家賃も高いんです。想像以上にお金の出ていくスピードが速いんで、外食は全然しません。嫁が家で生姜焼きとか味噌汁とか作ってくれるんで、日本と変わらないです。スーパーで日本の食材やお菓子も買えますからね」と節約しながらアメリカ生活を満喫しているようだ。

オリックスの大先輩で、現在はアメリカでプロゴルファーとして活動している長谷川滋利氏に会うこともある。「いろんな相談や勉強させてもらってます」と移住生活の先輩としても頼りにしている。

元々は2年くらいで日本に帰国する予定だったが、最近は迷い始めているという。「子供が英語を覚えてから帰るくらいがいいかなとも思ってます」と打ち明けた。

鈴木優さん

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阪神と関西シリーズの実現を期待

将来的にはオリックスのGMとして活躍することと、母校・雪谷高の監督として甲子園に出場することを夢見ている。日本の野球界に恩返しできるよう、本場の野球に触れながら見聞を広めているのはそのためだ。

日本では野球人口の減少が叫ばれているが、アメリカでは少年野球のシステムが違うことに驚いたという。「日本では地元の方がボランティアで教えているチームも多いですが、アメリカはお金を取る代わりに、きちんと一人ひとりに合った練習をするんです。日本にもそういったシステムが広がるといいんですが」と問題提起する。

オリックスの試合結果はシーズン中必ずチェックしていたが、ナイターだとアメリカでは真夜中のためリアルタイムで見る機会は少なかった。しかし、セ・リーグをぶっちぎりで制した阪神との日本シリーズなら話は別。「本物の日本シリーズというか、ハイレベルな戦いになりますね。実現したら毎日、夜更かしして見ないといけない」と関西決戦を期待する。

リーグ優勝後のビールかけの際、湊通夫球団社長が優勝旅行の行き先にハワイを挙げると、中嶋聡監督は「日本一になってラスベガスまで行きましょう」と声を張り上げたことが報じられた。鈴木さんは「もしラスベガスに来たらすぐ会いに行けます。みんなにアメリカで会える日を楽しみにしています」と日本一達成後の再会を願っている。

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