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プロ野球日本シリーズ唯一の1964年「関西決戦」回顧、59年ぶり実現なら名将対決再び

2023 9/22 06:00SPAIA編集部
阪神の岡田彰布監督とオリックスの中嶋聡監督
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1964年に阪神と南海が激突

2023年のプロ野球はセ・リーグが阪神、パ・リーグはオリックスが優勝した。ともに2位チームに大差をつける、ぶっちぎりのリーグ制覇。阪神が兵庫県西宮市、オリックスが大阪市にホーム球場を持ち、直通電車なら約15分の距離だけにX(旧ツイッター)では「阪神なんば線シリーズ」がトレンド入りするなど、日本シリーズでの対決を期待する声が挙がっている。

プロ野球の長い歴史を振り返っても、日本シリーズで関西勢同士が対戦した例は一度しかない。東京五輪が開催された1964年の阪神―南海だ。初めて全試合がナイター開催されたシリーズでもあった。

まだ阪神なんば線が開通していなかった当時、南海は大阪・難波にあった大阪球場を本拠地としていた。「親分」と呼ばれた鶴岡一人監督が率いるパ・リーグ最強軍団だ。

一方の阪神は藤本定義監督が指揮を執り、1962年に続く2年ぶりのリーグ優勝。2年前は東映に敗れており、果たせなかった日本一を狙っていた。

10月10日に東京五輪の開幕が決まっていたため公式戦日程を前倒ししたものの、セ・リーグは雨天順延などの影響で9月30日に阪神が優勝を決めると同時にようやく終了。当初の予定より2日ズレ込み、10月1日に日本シリーズが開幕した。

しかも9月30日の阪神はダブルヘッダー。リーグ優勝を決めた翌日から、ひと息つく間もなく日本シリーズが始まるという強行日程だった。

第5戦で先に王手をかけた阪神

10月1日の第1戦は甲子園。南海は同年26勝のジョー・スタンカ、阪神は22勝の村山実の先発で始まり、南海が2回、ジョニー・ローガンの中犠飛で先制すると、5回には4番・野村克也の右犠飛で2点目を奪った。阪神打線は散発3安打しか打てず沈黙。スタンカの完封勝利で南海が先勝した。

第2戦は南海が同年20勝の杉浦忠、阪神は29勝で最多勝に輝いたジーン・バッキーが先発。阪神は初回に吉田義男の二塁打を足掛かりに先制し、その後も小刻みに加点した。投げてはバッキーが8安打を喫しながらも完投し、5-2で勝利。1勝1敗のタイに持ち込んだ。

大阪球場に移った10月4日の第3戦は序盤から激しく動く。阪神は2回に藤井栄治の本塁打で1点を先制すると、3回にも4点を奪って先発のスタンカをノックアウト。南海も2回に1点を返して一度は同点に追いつき、3回にローガンのソロ本塁打、8回にもケント・ハドリの一発などで追い上げたが、阪神が5-4で2勝1敗とした。

第4戦は南海・杉浦と阪神・村山が先発。阪神は前年オフに「世紀の大トレード」と呼ばれた小山正明との交換トレードで大毎から移籍した山内一弘がソロと2ランを放ったが、南海も3点を奪って同点のまま9回に突入した。最後はハドリが村山からサヨナラ本塁打を放って4-3で劇的勝利。再び2勝2敗のタイとなった。

第5戦は阪神がピーター・バーンサイド、南海が皆川睦雄の先発。阪神が2回、辻佳紀のソロと安藤統男の2ランで3点を先制し、最後はバッキ―がリリーフして6-3とリードを守り切った。王手をかけた阪神は勇躍、甲子園に戻ることになった。

東京五輪開会式と重なった第7戦で南海V

ところが10月8日に予定されていた第6戦は雨天順延となった。翌9日、甲子園でバッキーが先発したが2回に2点を失い、打線はスタンカの前に沈黙。0-4で完封負けを喫し、南海が逆王手をかけた。

10月10日の第7戦。公式戦から雨の影響で日程が延び延びになり、結局、東京五輪の開会式と重なってしまった。戦後の復興途上にあった日本でアジア初となる歴史的ビッグイベントが始まり、国民の目は東京に注がれた。今では考えられないが、第7戦の甲子園は1万5172人の観衆しかいなかった。

南海はまたしてもスタンカが先発。シリーズ4試合目の登板だった。阪神もエース村山を先発に立てたが、初回にいきなり2点を失う。打線も5安打でスタンカを攻略できず、南海が3-0で勝利。「関西対決」は4勝3敗で南海が制した。

鶴岡一人と藤本定義両監督の名将対決

プロ野球史上最多の通算1773勝を挙げた南海・鶴岡監督は当時48歳。選手兼任として初めて監督に就任した1946年から19シーズン目で、監督としても晩年に差し掛かっていた(1968年に退任)。

阪神・藤本定義監督も歴代3位の監督通算1657勝を挙げた名将。巨人と阪神で監督を務めた唯一の人物で、1964年の日本シリーズ当時すでに59歳だった。プロ野球史上唯一の関西決戦は、監督通算勝利数1位と3位の名将対決でもあったわけだ。

あれから59年後の2023年。阪神・岡田彰布、オリックス・中嶋聡という2人の名将がセ・パ両リーグを制した。ともにクライマックス・シリーズを勝ち上がれば、59年ぶりの関西決戦、かつ名将対決となる。ぶっちぎりで優勝した両チームの激突なら見応え十分のシリーズとなるだろう。阪神は1985年以来38年ぶり、オリックスは2年連続の日本一を狙うが果たして…。

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