球団46年ぶりの3連覇達成
オリックスが本拠地・京セラドーム大阪で2位ロッテを下し、リーグ3連覇を果たした。3連覇は1977年の前身の阪急以来、球団としては46年ぶりの偉業となった。
今季の強さを象徴する試合運びだった。優勝へ王手をかけて迎えたロッテとの直接対決は、緊迫の投手戦。3回にロッテが先制し、5回には追加点を奪われ2点ビハインドのまま終盤に突入した。7回も二死となり重苦しい雰囲気の中、7番ゴンザレスが死球で出塁。ここで流れが変わった。
1四球を挟み6連打で一挙6得点で逆転に成功。その後は強力リリーフ陣でロッテ打線を0に抑え、歓喜の瞬間を迎えた。3年連続の胴上げで中嶋聡監督が5回、宙に舞った。過去2年は全日程を終了後の優勝決定。今季は自力、そして本拠地のファンが見つめる中で優勝を決め、ナインの喜びもひとしおだった。
盤石の投手陣、防御率はリーグダントツ
今季のオリックスは過去2年とは異なり、2位に14.5ゲーム差をつける独走で優勝まで駆け抜けた。リーグ2位の460得点、リーグ最少の372失点で、得失点差88はリーグダントツと、数字上もその抜きん出た強さを証明している。
また、今季ここまでの勝率、得失点差ともに過去2年の優勝時を大きく上回っている。年々その強さは変化、そして進化していることがうかがえる。
特に投手陣は圧巻の成績だ。前人未踏の3年連続投手4冠を視界に捉えている山本由伸がエースとして引っ張る先発陣は、宮城大弥、山﨑福也、田嶋大樹の左腕3本柱が今年も健在。加えて、高卒3年目の山下舜平大、球団初のデビューから7連勝を飾った東晃平の新星2人も台頭。特に勝負どころの終盤戦は強固な陣容だった。
この強力な先発陣に呼応するように救援陣も好成績。抑えの大ベテラン平野佳寿を中心に、山﨑颯一郎、阿部翔太、宇田川優希、山田修義が30試合以上登板しながら防御率1点台をマークした。
チーム全体で見ても、奪三振数はリーグトップ、与四球数はリーグ2番目の少なさ、被本塁打もリーグ最少、完封勝ちはリーグ最多。先発防御率、救援防御率、チーム防御率はいずれも2.64でリーグトップと、付け入る隙のない盤石の投手陣だった。
全員野球体現した野手陣、リーグNo.1の長打力
一方、打線は主軸を担っていた吉田正尚がメジャーへ移籍し、得点力の低下が懸念された。だが、129試合経過時点で1試合平均3.57得点はソフトバンクに次ぐリーグ2位。昨季の3.43得点からも微増と、開幕前の不安を払拭する打力を見せた。
その得点力を支えたのが長打力。犠打(76)、盗塁(42)、四球(324)はいずれもリーグワーストだが、本塁打、塁打数、ISO(長打率-打率)はいずれもリーグトップだ。打率.307で現在首位打者の頓宮裕真がいる一方、本塁打王争いに絡むような選手はおらず、オリックス打線に長打という印象はあまりないかもしれない。
確かに本塁打数を見ると、20本塁打に到達している選手はいない。だが、2ケタ本塁打は、頓宮、森友哉(ともに16本)、杉本裕太郎(14本)、中川圭太(12本)、マーウィン・ゴンザレス(10本)とリーグ最多の5人が記録。傑出した「個」ではなく、打線全体で長打を量産していた。
セ・リーグを18年ぶりに制した阪神は打撃陣の四球数の多さが大きく取り上げられたが、オリックス打線は出塁した走者を長打で効率よく得点へと結びつけていた。
パ・リーグでは、1990-94年まで5連覇を達成した西武以来の3連覇を成し遂げた中嶋オリックス。圧倒的な力を発揮した投手陣に長打力で抜きん出た野手陣が見事に噛み合い、「全員で勝つ」を見事に体現してみせた。投手、野手ともに20代が主力に多く、今後もこの強さは継続されるだろう。この3連覇はオリックス黄金期のまだ序章に過ぎないのかもしれない。
※数字は9月19日時点
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