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2年連続三冠王誕生か? ソフトバンク・近藤健介が“史上最低成績”での偉業達成へ現実味

2023 9/10 07:00SPAIA編集部
ソフトバンクの近藤健介,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

74打点はリーグトップ、打率と本塁打も僅差の3位

今年のプロ野球もいよいよ佳境を迎え、各球団とも残り20試合前後となった。優勝争いとともに注目されるのが個人タイトル争い。昨季はヤクルトの村上宗隆が史上最年少で令和初の三冠王に輝いたが、今季はパ・リーグで三冠王が誕生するかもしれない。

偉業に挑むのは今季ソフトバンクにFAで加入した近藤健介だ。3月のWBCでも日本の優勝に貢献した巧打者は今季ここまで全122試合に出場して、リーグ3位の打率.304、同3位の21本塁打、同1位の74打点をマーク。打率はトップのオリックス・頓宮裕真と6厘差、本塁打もトップの楽天・浅村栄斗、ロッテ・ポランコと2本差の位置に付けている。

通算打率.307を誇る稀代のヒットメーカーは、今季打球を飛ばすことに主眼を置いた打撃スタイルに変更。ただ、シーズン序盤はそれが裏目に出て強いスイングを意識するあまり三振が増え、打率も2割台前半まで落ち込んだ時期もあった。

しかし、徐々に調子が上向きに。シーズン中盤の7月1日にはキャリアハイとなる今季12本目の本塁打を放つと、8月には打率.365、7本塁打、19打点で月間MVPを獲得。持ち前の巧打に長打力が加わり、自身初の三冠王を射程圏内に捉えている。

「投高打低」で史上最低成績の三冠王誕生?

今季のパ・リーグは「投高打低」が顕著だ。打率、本塁打、打点の打撃3部門とも例年に比べて低い数字での争いとなっている。

打率は現在トップの頓宮が.310で、3割1分台の首位打者誕生となれば2012年のロッテ・角中勝也の.312以来、11年ぶりとなる。また、これまでパ・リーグの史上最低打率の首位打者は1976年の太平洋(現西武)・吉岡悟が記録した.309で、これを下回る可能性も出てきている。

本塁打も浅村とポランコの23本が現在トップで、20本台で本塁打王が決まる可能性が高い。現在打点トップの近藤はこのままのペースでいくと約87打点となり、1995年(イチロー、初芝清、田中幸雄の3人が80打点で打点王)以来の80点台での打点王となる。

そのため、もし近藤が打撃3部門でトップとなった場合、史上最低成績での三冠王が誕生するかもしれない。

プロ野球の長い歴史の中で三冠王に輝いたのはわずか8人。歴代の三冠王とその成績は下表の通りだ。

歴代三冠王一覧


昨季、村上が史上8人目の三冠王に輝いたのは記憶に新しいが、その時に記録した打率.318が歴代では最も低い数字となっている。

また、本塁打と打点では、春秋制で試合数も少なかった初代三冠王・中島治康の記録を除くと、史上最多3度の三冠王に輝いた落合博満が初めて三冠王となった1982年に記録した32本塁打、99打点が最低記録となっている。

当時、落合は三冠王を獲った際、その成績から「史上最低の三冠王」と揶揄されていた。今季の近藤はその成績を下回る三冠王となるかもしれないのだ。

同僚の柳田悠岐も肉薄

ただどんな成績だろうと打撃3部門でトップをとったのであれば、それは三冠王として称えられるべきだろう。特に、今季キャリアハイを大きく超える21本塁打を放つなど見事な進化を遂げた近藤には、このチャンスをぜひモノにしてほしいところだ。

一方で、今季三冠王のチャンスがあるのは近藤だけではない。同僚の柳田悠岐もここにきて数字を伸ばしている。近藤と同じく夏場に調子を上げてきた34歳は、現在リーグ2位の打率.306をマーク。19本塁打、73打点はいずれも近藤に肉薄しているのだ。

ソフトバンクは9月9日時点で122試合を消化し、残すところあと21試合。チームはクライマックスシリーズ争いの真っ只中だが、2人の主砲がどこまで数字を伸ばすかにも注目が集まる。昨季同様、今季もシーズン最後までソフトバンクから目が離せない展開となりそうだ。

※成績は9月9日時点

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