巨人・浅野翔吾が早くも頭角現す
プロ野球のシーズンも佳境を迎え、セ・リーグでは阪神、パ・リーグでは3連覇を目指すオリックスが首位を独走。ともに優勝へのマジックを点灯させているが、優勝争いとともに気になるのが新人王争いだろう。昨秋のドラフトで指名されたルーキーたちはどんな活躍を見せているだろうか。ここまでを振り返ってみたい。
昨秋のドラフトで目玉として注目を集めていたのが、巨人のドラフト1位・浅野翔吾(高松商高)だろう。阪神との競合となった高校通算68本塁打を誇るスラッガーは、土台作りのため春季キャンプは二軍スタートだった。開幕も二軍で迎えたが、7月2日の日本ハム戦でグランドスラムを放つなど徐々に調子を上げ、7月7日に一軍初昇格を果たした。
7月8日の中日戦で代打として一軍デビュー(結果は三振)を飾ると、8月11日のDeNA戦でプロ初スタメン、第2打席で東克樹からプロ初安打を記録した。さらに、18日の広島戦では、球団の高卒新人としては2015年の岡本和真以来、史上7人目となる本塁打も放つなど、早くも大物の片鱗を見せている。
巨人ではドラフト4位の門脇誠(創価大)と5位の船迫大雅(西濃運輸)が一軍に定着している。ともに開幕一軍入りすると、門脇は三塁、遊撃など複数ポジションをこなしながら104試合に出場して打率.248、2本塁打をマークするなど走攻守にわたり活躍。船迫は中継ぎとして25試合に登板、2勝1敗3ホールド、防御率2.91の成績で、ブルペンに不可欠な存在となっている。
阪神・森下翔太がレギュラー獲得、中日・松山晋也はセットアッパーに
阪神の1位・森下翔太(中央大)も開幕一軍入りすると、ここまで72試合に出場して、打率.238、9本塁打、38打点をマーク。2度の二軍落ちを経験するも、6月下旬以降はスタメンに定着。持ち前の勝負強さを発揮し、18年ぶりの優勝へ貴重な戦力となっている。
ヤクルトの1位・吉村貢司郎(東芝)も開幕ローテ入りを果たし、5度目の登板となった4月30日の阪神戦でプロ初勝利をマーク。5月24日の阪神戦まで8試合に先発し、2勝1敗、防御率4.54の成績を残していた。しかし右前腕を痛め、出場選手登録を抹消。3カ月以上二軍生活を送り、9月3日に一軍復帰を果たしている。
中日では7位の福永裕基(日本新薬)が持ち前の打撃を買われ、開幕戦でスタメン出場。89試合に出場して打率.247(68安打)、2本塁打、15打点の成績を残していた。だが、7月以降は打撃不振に陥り、8月14日に初の二軍落ち。ファームで再調整の後、9月6日に一軍再昇格している。
また、育成1位の松山晋也(八戸学院大)が「勝利の方程式」入りを果たしている。6月に支配下登録を勝ち取ると、プロ初登板となった6月17日の日本ハム戦で三者三振の圧巻デビューを飾った。ここまで24試合に登板して12ホールド、防御率1.11、奪三振率11.84の好成績。8月からは勝ちパターンを任され、現在14試合連続無失点中と安定感抜群の投球を見せている。
茶野篤政が育成出身ルーキー初の開幕戦スタメン
パ・リーグではオリックスの育成4位・茶野篤政(四国IL・徳島)がロケットスタートを決めた。開幕前に支配下登録されると、育成出身ルーキー初の開幕スタメンを勝ち取り、プロ初ヒットも記録。そのままレギュラーを獲得した。後半戦は苦しんでいるが、ここまで88試合に出場して打率.243(74安打)、1本塁打、23打点、7盗塁をマークしている。
ロッテでは、ドラフト2位・友杉篤輝(天理大)が開幕から一軍で出場を続けている。武器の俊足と守備だけでなく、シュアな打撃も披露。藤岡裕大との併用ながら遊撃のポジションを任され、ここまで55試合に出場して45安打(打率.280)、8盗塁と、走攻守で躍動している。
ソフトバンクはドラフト2位の大津亮介(日本製鉄鹿島)が開幕一軍入りし、ここまで中継ぎとして37試合に登板、2勝0敗、防御率2.84の成績。175センチ、63キロと小柄な体型ながら、即戦力としてブルペンを支えている。
楽天ではドラフト1位の荘司康誠(立教大)と3位の渡辺翔太(九産大)の2人が目立つ。荘司はここまで15試合に先発して3勝3敗、防御率3.09。勝ち星こそ伸びていないが、奪三振率7.83を記録するなど競合ドラ1の実力を存分に示している。
渡辺は6月に初昇格を果たすと、ここまで36試合に登板して6勝2敗16ホールド、防御率1.57と出色の成績。7月2日のロッテ戦から17試合連続無失点を記録するなど、支配下で指名された5投手の中で抜群の存在感を放っている。
日本ハムは7位の奈良間大己(立正大)が一軍で活躍。47試合に出場して打率.241、2本塁打、13打点をマーク。二塁、三塁、遊撃のポジションをこなす内野のユーティリティープレーヤーとして重宝されている。
蛭間拓哉はクリーンアップで獅子奮迅の活躍
西武のドラフト1位・蛭間拓哉(早稲田大)は開幕一軍こそ逃したが、二軍で結果を残し、6月下旬に初昇格。ここまで42試合に出場して打率.272、2本塁打、17打点を記録するなど持ち前の勝負強さを発揮し、クリーンアップを任されるまでに成長している。
西武では4位の青山美夏人(亜細亜大)と6位の児玉亮涼(大阪ガス)もチームに貢献している。青山は開幕から一軍に帯同し続け、33試合に登板して0勝1敗3セーブ1ホールド、防御率3.65の成績。児玉は持ち前の堅守で遊撃のレギュラーを勝ち取り、WBCでのケガの影響で出遅れた源田壮亮の穴を見事に埋めてみせた。
他にも、DeNAの1位・松尾汐恩(大阪桐蔭高)は二軍で85試合に出場して打率.263、4本塁打、34打点をマーク。広島の1位・斉藤優汰(苫小牧中央高)も8月24日のウェスタンリーグ・ソフトバンク戦に先発し、5回1安打無失点と好投。ともに高卒ながら二軍で大器の片鱗を見せている。
今季の新人王レースは、セでは村上頌樹、パでは山下舜平大とプロ3年目の両投手がエース級の成績を残しているため、ルーキーたちはその後塵を拝しているが、1年目としては十分な成績を残している選手も多い。今季の経験を糧に、数年後チームの核となる選手がどれだけ出てくるか楽しみだ。
※成績は9月5日現在
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