佐野恵太、牧秀悟と強力クリーンアップ形成
交流戦で初優勝したDeNAはリーグトップのチーム打率を誇る強力打線が好調だ。その中でも12球団断トツのハイアベレージをキープしているのが宮﨑敏郎。23日の阪神戦でも3打数2安打1打点で勝利に貢献し、打率.378としている。
厳木高、日本文理大、セガサミーといわゆる野球エリートとは違うルートからドラフト6位でプロ入りして11年目。着実に実力を蓄え、2017年には打率.323で首位打者に輝いた。
国内FA権を取得した2021年には権利を行使せずに異例の6年契約で残留し、事実上の「生涯横浜」を選択。大卒社会人出身のためすでに34歳だが、衰えるどころか、巧みなバットコントロールは円熟味を増している。
佐野恵太、牧秀悟と組むクリーンアップは相手投手からすれば息をつく間もないだろう。相乗効果が好成績につながっていることは間違いない。
インハイ苦手も意外に攻められていない?
そんな宮﨑に弱点はないのだろうか。ストライクゾーンを9分割したコース別打率を見ると、意外な急所が浮かび上がってくる。
最も高い打率は外角高めの.583。真ん中高めも.524、真ん中低めも.519と5割台が3コースもある。
ほかにも内角ベルトラインは.417、打率の低い打者が多い外角低めでさえ.379の高打率だ。一見、相手投手はどこに投げても打たれるような錯覚に陥るかも知れない。
しかし、唯一、打率2割未満を示す青色になっているのが内角高めだ。12打数1安打の打率.083。引っ張り専門のスラッガーならホームランボールとなるコースがからっきし打てていないのだ。
右打者のインハイには、特に右投手は投げにくい。コントロールミスをしてぶつけてしまう心配もあるし、逆に真ん中寄りに入れば打率5割以上の得意コースだからだ。
実際、他のコースに比べて12打数と少ないのはそのせいもあるだろう。苦手なはずの内角高めを意外に攻められておらず、宮﨑自身もそれほど打たされていない。
また、なぜか打てていないど真ん中に加えて低打率なのが内角低め。15打数3安打の打率2割となっており、宮﨑の弱点は内角と見ることができる。ただ、同じ内角でもベルトラインは.417をマークしており、高低もきっちりコントロールすることが求められるから、やはり打ち取るのは簡単ではない。
左投手なら思い切って内角を突けそうだが、宮﨑は対右投手の打率.338に対し、対左投手は.481とサウスポーにめっぽう強い。ハイアベレージもうなずけるというものだ。
天敵・青柳晃洋の不振も追い風
もうひとつ追い風になっているのが天敵・青柳晃洋(阪神)の不振だ。
シュート系のボールで内角を攻められるためか、2019年は8打数無安打、2020年は13打数3安打、2021年は15打数2安打、2022年は4打数無安打と苦手にしていたサイド右腕が、今季は2勝しか挙げておらず、5月20日に登録抹消されてからは二軍調整中。昨季、投手3冠に輝いた天敵の不在は、心理的にも好影響を与えているかも知れない。逆に言えば、青柳の復帰後がひとつのカギだろう。
プロ野球史上シーズン最高打率はランディ・バース(阪神)が1986年にマークした.389。右打者では内川聖一(横浜)が2008年に記録した.378となっている。今季の宮﨑なら記録更新を期待したくなる。
その上、13本塁打はリーグ2位、43打点はリーグ3位と三冠王すら狙える成績なのだ。1998年以来25年ぶりの優勝を狙うDeNA。その強力打線を引っ張る宮﨑の個人成績にも注目が集まりそうだ。
※成績は6月23日終了時点
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