PA/K13.77で12球団トップだった宮﨑敏郎
日本プロ野球界で「最も三振の少ない打者」として認識されているのは、レッドソックスへの移籍が決まった前オリックスの吉田正尚で異論はないだろう。
三振を1つ喫するまでにかかる打席数を示す「PA/K」は2021年が17.50、2020年が16.97で2年連続12球団トップ。ロッテの佐々木朗希が完全試合を達成した4月10日オリックス戦で、吉田正尚が3三振したことが話題になったほどだ。それほどバットコントロールに優れ、破格の待遇でメジャー移籍が決まったのもコンタクト率の高さが一因だろう。
しかし、2022年のPA/Kは12.39で12球団2位(パ・リーグ1位)。トップはDeNAの宮﨑敏郎で、13.77だった。吉田の数字がやや落ちたとはいえ、宮﨑の成績が立派であることは間違いない。
482打席でわずか35三振
宮﨑は厳木高から日本文理大、セガサミーを経てDeNA入りして10年目の34歳。右打者で俊足ではないにもかかわらず、2017年に打率.323で首位打者に輝くなど元々バットコントロールには定評がある。
FA権を取得した2021年オフには6年契約を結び、事実上の「生涯ベイスターズ」を宣言した。通算1015安打をマークしている、セ・リーグを代表する打者の一人だ。
2022年は主に5番で起用され、佐野恵太、牧秀悟と強力クリーンナップを形成。122試合に出場して打率.300、130安打、16本塁打、50打点をマークした。9月17日の広島戦で球団の日本人右打者では最速となる945試合目で通算1000安打を達成している。
482打席で喫した三振はわずか35。規定打席到達者の中では、三振数でも12球団最少だ。四球は44個で80四球の吉田正尚の約半分。そのため三振を1つ喫するまでに選んだ四球の平均数を示す「BB/K」は吉田に次ぐ1.257で12球団2位となっているが、それでも優秀な成績だ。
来季はポイントゲッターとしても期待
全く力むことのないゆったりしたフォームで、左足を踏み込んでからのスイングスピードが速い。パンチ力もある割に広角に打ち分けることができるため、相手投手からすれば攻めにくいだろう。
2022年のDeNAは終盤に首位ヤクルトを追い上げたが、最終的には8ゲーム差の2位。チーム打率.251もリーグ2位だが、497得点は同4位だった。優勝したヤクルトは619点だから、その差は122点。1試合につき1点近く少なかったわけだ。
投手陣の整備はもちろんだが、就任3年目で勝負のシーズンとなる三浦大輔監督にとって、チーム打率の割に得点が少ないことは悩みの種だろう。ネフタリ・ソトとタイラー・オースティンも残留が決まり、両助っ人の働きぶりにも左右されるが、来季は宮﨑にポイントゲッターとしての役割も求められる。
吉田正尚がアメリカに行けば、名実ともに「日本で最も三振の少ない打者」となる宮﨑。1998年以来25年ぶりの優勝に向け、巧みなバットコントロールへの期待が高まる。
【関連記事】
・DeNAの通算本塁打ランキング、トップは松原誠の330本塁打 現役では筒香嘉智とソトがランクイン
・DeNA2023年コーチングスタッフ、勝負の3年目に臨む三浦大輔体制
・DeNA細川成也と中日・笠原祥太郎は現役ドラフトで“交換トレード”