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阪神タイガースが強い理由、佐々木朗希を1安打で負かした試合は今季の象徴?

2023 6/6 06:00SPAIA編集部
阪神の才木浩人,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

才木浩人が完封で佐々木朗希に投げ勝つ

阪神・才木浩人が6月4日のロッテ戦(甲子園)で完封勝利を挙げた。味方打線は相手先発・佐々木朗希に5回までノーヒットだったにもかかわらず、6回、大山悠輔のチーム初安打が貴重なタイムリーとなり、1点を先制。佐々木降板後の7回にも1点を追加すると、才木はロッテ打線を3安打に抑え、12三振を奪う完璧な投球で4勝目を挙げた。

それまで無傷の4連勝、防御率1.18をマークしていた佐々木朗希に今季初黒星をつける価値ある1勝。才木は2020年オフにトミー・ジョン手術を受け、2022年に実戦復帰して9試合登板で4勝1敗だったから、早くも昨季の勝ち星に並んだことになる。キャリアハイの6勝(2018年)はもちろん、初の2桁勝利も狙えるペースだ。

元々、投手力には定評のある阪神だが、今季は先発陣が計算通り働いているわけではない。昨季、投手3冠に輝いたエース青柳晃洋は今季わずか2勝(3敗)、防御率5.63と精彩を欠いており、5月20日に登録抹消されている。

昨季9勝の西勇輝も今季2勝4敗、防御率4.42。同じく昨季9勝の伊藤将司も開幕に出遅れたこともあり、ここまで2勝(1敗)どまりだ。

さらに昨季6勝の西純矢も今季2勝、昨季5勝のジョー・ガンケルはソフトバンクに移籍、同じく5勝のアーロン・ウィルカーソンは退団、昨季3勝の藤浪晋太郎はアスレチックスに移籍した。

ところが今季は現役ドラフトでソフトバンクから移籍した大竹耕太郎が無傷の6連勝、防御率0.71と大ブレイク。東洋大から入団3年目の村上頌樹は5勝1敗、防御率1.41の好成績を残している。下の表の通り、先発ローテーションの顔ぶれは大幅に入れ替わっているのだ。

阪神の主な先発投手の成績比較

ブルペンの充実とコンバート奏功

大竹は環境が変わったことで心機一転し、村上は昨季まで二軍で着々と腕を磨いてきた。躍進の理由に当人の努力や実力があるのは言うまでもない。高いレベルで競い合って切磋琢磨していることも相乗効果をもたらしているだろう。

加えて中継ぎ、リリーフ陣の安定も大きい。先発投手はイニング数をそれほど気にせず前半からとばしていけるからだ。石井大智、岩崎優、岩貞祐太、及川雅貴、加治屋蓮、湯浅京己らの存在は心強いに違いない。

長年の課題だったエラーの多さも少しずつ解消されつつある。2018年は89個、2019年は102個、2020年は85個、2021、2022年は86個で5年連続リーグワーストだったが、今季はここまで30個でワーストの中日より8個少ない。

143試合に換算すると84個ペースでそれほど改善されていないことになるが、昨季18失策を記録した中野拓夢をショートからセカンドにコンバートして投手陣の心理的負担も減少しているだろう。

ポジションと打順固定で得点力アップ?

さらに打線も好調だ。過去のチーム総得点を振り返ると、2019年は538得点でリーグ最下位、2020年は494得点で同4位、2021年は541得点で同5位、2022年は489得点で同5位だったが、今季は202得点で同2位に躍進している。

本塁打数は28本でリーグ5位にかかわらず得点力はアップしているのだ。これはポジションと打順をほぼ固定しているのも大きいだろう。サードとライトで併用されていた佐藤輝明をサードに固定、ファースト、サード、レフトで併用されていた大山悠輔をファーストに固定した。

打順も近本光司、中野拓夢、ノイジー、大山悠輔、佐藤輝明の1番から5番はほぼ固定されている。外国人以外、顔ぶれはあまり変わっていないにもかかわらず、選手の能力をフルに引き出す巧みさは岡田彰布監督ならではと言えるかも知れない。

投打がガッチリ噛み合っている阪神。2軍で調整中の青柳もウエスタン・リーグで登板しながら復活を図っており、一軍に復帰すれば盤石と言える。いつまでも好調が続く保証はないが、少なくとも大きな死角は見当たらない。

優勝するシーズンはその象徴となる試合があることが多い。1985年4月17日のバックスクリーン3連発はその代表例だ。佐々木朗希にたった1安打で黒星をつけた一戦は、後から振り返るとそう言われるのではないか。18年ぶりの「アレ」に向け、まずは交流戦の成績に要注目だ。

※成績は6月4日現在

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