「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

先発として快調なスタート切った西武・平良海馬 昨季からのパフォーマンスの変化に迫る

2023 4/23 06:00SPAIA編集部
西武の平良海馬,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

今季から先発転向、3戦2勝と好スタート

今季から先発に転向した西武の平良海馬が好調な滑り出しを見せている。ここまで3試合に登板して2勝0敗、防御率1.89。全3試合でQS(6回以上自責点3以下)をマークするなど、先発としての役割を十二分に果たしている。

昨季までは絶対的セットアッパーとしてブルペンを支えていた。2019年途中からリリーフとして一軍に定着し、20年から3年連続で50試合以上に登板。昨年はリーグトップタイの61試合に登板して35ホールドポイントを記録し、自身初となる最優秀中継ぎのタイトルも獲得した。

そして、昨オフの契約更改で球団に直訴し、かねてから希望していた先発へと転向。長いイニングを投げる体力や投球スタイルの変更などが必要なため、右腕の先発挑戦を不安視する声もあったが、ここまでは見事な投球でその不安を一掃している。

では、今季の先発転向にあたり、平良は自身の投球スタイルにどのような手を加えたのだろうか。昨季と比較してその変化を探ってみたい。

多彩な球種を駆使するスタイルに変化

まずは、投球内容の変化を探るため、速球の平均球速、K%(奪三振割合)、BB%(与四球割合)、HR/9(9イニングあたりの被本塁打)の各指標について比較してみた。

平良海馬の投球内容の変化


平良と言えば、最速160キロを誇る剛速球が持ち味の一つ。リリーフとして登板していた昨季は平均155.4キロをマークしていた。それが今季は151.7キロと約4キロ低下した。それでも先発として平均150キロ超は球界に数えるほどしかおらず、十分に速いレベルを維持している。

K%も低下しているが先発としては高水準。その一方で、BB%とHR/9は大幅に悪化している。平良はもともと細かいコントロールはなく、剛速球で押していく投球スタイル。加えて先発に転向したばかりということもあり、一時的に悪化しているだけかもしれない。この2つの指標については今後も継続的に追っていく必要がありそうだ。

続いて、球種割合についてみていく。

平良海馬の球種割合の変化


今季からカーブとツーシームの2球種を持ち球に加え、ストレートの割合を大幅に減らしている。多彩な球種を駆使して打者を打ちとろうという意図があるのだろう。ただ、2つの新球種はともにここまでの被打率が.500と打たれている。まだ投球数が少ないため、この2球種の質が悪いのか、配球の問題なのか現時点では定かではないが、これらを有効的に使えるようになれば、さらにピッチングの幅が広がるはずだ。

1年間パフォーマンスを維持できるか

今季から満を持して先発へと転向した平良海馬。そのパフォーマンスは、球速の低下など長いイニングを投げる上でやむを得ない変化はあったが、それでも先発としては十分ハイレベルな水準を維持している。この状態をシーズン通して続けることができるかが今後の課題となるだろう。

実際、3度目の先発となった18日のソフトバンク戦(東京ドーム)では、変化球の制球が定まらず4四球、奪三振も今季最少の3つのみ。6回1失点にまとめたものの、やや不安定な内容だった。

首脳陣もそのあたりは十分理解しているようで、翌19日に平良の登録を抹消。次週が5試合しか予定されていないこともあり、先発転向したばかりの右腕の疲労を考慮し、1回ローテーションを飛ばす決断を下している。

ただ、もし今後も現状のパフォーマンスを維持できるのであれば、いきなりエース級の成績を残すことも十分ありえるだろう。そして、オリックス・山本由伸のようにリリーフから球界を代表する先発投手へと変貌する可能性も秘めている。また一人楽しみな先発投手が誕生したことは間違いない。

【関連記事】
西武・平良海馬の先発転向は成功する? 山本由伸は大エースへ飛躍も…リリーフ再転向した投手も
西武・隅田知一郎は菊池雄星になれるか?ドラ1本格派左腕が遠回りのプロ2勝目
相次ぐ離脱者…WBC戦士に“後遺症”はあるのか?今後の大会への懸念も