四国アイランドリーグ徳島から育成4位入団の茶野
オリックスの茶野篤政外野手(23)が開幕から猛アピールを続けている。4月12日現在、リーグ2位の打率.342をマーク。開幕戦は8番ライトでスタメン出場し、6戦目からは打順も1番に昇格するなど首脳陣の信頼をつかんでいる。
茶野は中京学院大中京高時代は控え選手で、名古屋商科大を経て入団した四国アイランドリーグplus・徳島では打率.316で首位打者に輝き、37盗塁、出塁率.418をマーク。2022年育成ドラフト4位でオリックス入りした。
入団会見では、走攻守3拍子揃った楽天・辰己涼介を目標に掲げ、対戦したい投手に同じ滋賀県出身の楽天・則本昂大を挙げた。今春キャンプはBグループ(二軍)スタートだったが、オープン戦でアピールに成功し、開幕前の3月24日に支配下登録を勝ち取った。
「033」だった背番号は「61」に変更。育成出身選手として史上初めて、1年目に開幕スタメン出場を果たした。首脳陣もここまでの急成長は嬉しい誤算だろう。
宇田川優希ら育成出身選手の活躍目立つオリックス
最近は育成出身選手の活躍も珍しくないが、ソフトバンクと並んでオリックスも近年特に成功例が多い。日本代表として第5回ベースボールクラシックにも出場した宇田川優希は2020年の育成3位。当時は育成での入団に難色を示していたが、2年目の2022年7月に支配下となり、その半年後には世界一に輝くという「ジャパニーズドリーム」を体現した。
2019年育成6位の大下誠一郎も球史に名を残した。1年目の2020年9月14日に支配下登録されると、翌15日楽天戦の第1打席で辛島航から3ラン。育成出身選手が1年目に初打席本塁打を放つのは史上初だった。明るく元気なキャラクターで人気者となったが、昨オフの現役ドラフトでロッテに移籍している。
また、漆原大晟は2018年の育成1位。2020年2月に支配下となり、同年は22試合、2021年は34試合に登板するなど貴重な中継ぎとして活躍している。
新人で唯一の一軍経験
実績のあるオリックスの育成指名だが、その中でも茶野は異例のスピード出世だろう。吉田正尚がメジャー移籍した穴を誰が埋めるかは今季の課題だった中、レフトとライトの違いはあるとはいえ、結果的に茶野の台頭で解決しているのが現状だ。
2022年ドラフト組のチームメイトは1位の曽谷龍平(白鴎大)をはじめ、現段階で一軍を経験したのは茶野が唯一。野球エリートとは程遠く、大学時代は公務員受験も考えたという苦労人が、プロでは一番出世を果たすのだから人生は分からない。
これから壁にぶち当たる時も来るだろうが、育成出身選手はそれを乗り越える逞しさを持ち合わせていることが多い。俊足巧打の茶野は無我夢中でシーズンを駆け抜けることができるか注目だ。
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