実戦不足や時差ボケの懸念払拭
西武の山川穂高内野手(31)が25日のDeNAとのオープン戦で待望の1号本塁打を放った。6回の第3打席、ガゼルマンのカットボールをジャストミートし、豪快に左翼席へ運ぶソロアーチ。ワールドベースボールクラシックから復帰初戦でファンに最高のお土産となった。
WBCでは世界一の美酒に酔ったが、個人的には3試合に出場して7打席に立ったのみ。5打数1安打2犠飛2打点、打率2割が最終成績だ。
大谷翔平や吉田正尚が大活躍し、セ・リーグの三冠王・村上宗隆も不振に苦しみながら準決勝でサヨナラ打、決勝で特大の本塁打を放った。岡本和真も本塁打でパワーを証明した。彼らに比べると、パ・リーグの二冠王は影が薄かったと言わざるを得ない。
準決勝メキシコ戦、2点を追う8回一死二、三塁で代打として打席に立ち、1点差に迫る左犠飛を放った。結果的にこの一打が効き、9回の逆転サヨナラにつながったが、山川のスイングはどこか窮屈だった。
確実に点を取りたい場面、相手投手のレベルなど総合的な判断でコンパクトに振ったのかも知れないが、普段は「本塁打しか狙ってない」と公言するスラッガーが「らしさ」を失っているようにも見えた。
それがどうだ。この日のオープン戦1号は、実戦不足や時差ボケの懸念を払拭する豪快な一発。いつも通りのフルスイングと「どすこいパフォーマンス」でスタンドを沸かせた。もう心配はいらないだろう。
順調なら今季中にFA権取得の見込み
中部商高から富士大を経て2013年ドラフト2位でプロ入りし、今季が10年目のシーズン。3度の本塁打王に輝き、積み上げてきた本塁打は218本を数える。
山川にとって今季が重要なのは、WBCが開催されたからだけではない。順調にいけば、シーズン中に国内FA権を取得するのだ。
昨オフの契約更改交渉では4年契約を提示を断り、2億7000万円の1年契約でサイン。本人は態度を明確にしていないが、もしFA宣言すれば争奪戦に発展する可能性も十分だ。
WBCで自らの商品価値を上げることはできなかったが、だからこそシーズンでの活躍が重要になるとも言える。
穴のなさを証明するコース別打率
左足を大きく上げる豪快なフォームから穴も多いと思われがちだが、意外にどのコースもコンスタントに打っている。ストライクゾーンを9分割した2022年のコース別打率は下の通りだ。

打率3割以上を示す赤色は内角ベルトラインのみだが、それ以外は全て打率2割台。低めの変化球で打ち取られているのかと思いきや、内角低めは.280、真ん中低めは.263、外角低めは.265と悪くない数字を残している。
山川の昨季打率が.266だからどのコースも苦手にしていない。しいて挙げれば外角高めが.217と低いくらいだ。
西武の昨季チーム打率は12球団ワーストの.229。チーム総得点も12球団中10位の464と少ない。今年のオープン戦でも7勝5敗2分けと勝ち越しているものの、チーム総得点は39で12球団最少だ。やはり山川のバットにかかる期待はどうしても大きくなる。
WBCでは出番が少なくても笑顔を絶やさず、明るいキャラクターでチームを盛り上げながら脇役に徹した。チームでは自らのバットで打線を引っ張らなくてはならない。勝負の10年目がいよいよ始まる。
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