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20年目のソフトバンク和田毅、42歳でも奪三振率が高い理由

2023 3/11 06:00SPAIA編集部
ソフトバンクの和田毅

ⒸSPAIA

日米通算155勝のベテラン左腕

ソフトバンクのチーム最年長、和田毅投手(42)がプロ20年目のシーズンに臨む。

「松坂世代」唯一の現役として、円熟の投球は健在。昨季は17試合に登板して7勝4敗、防御率2.78をマークし、今春キャンプでは左太ももを痛めたものの、3月8日のヤクルトとのオープン戦で2回1安打無失点とピッチを上げている。

2022年の投球データでは、ストレートの平均球速は142.4キロ。決して驚くようなスピードボールを投げるわけではないが、テークバックの小さいフォームから手元で伸びるため相手打者は差し込まれることも少なくない。

さらに平均131.3キロのスライダー、被打率.125のチェンジアップの3球種だけで全体の93.1%を占めている。剛腕タイプではなく、変化球もそれほど多くない投手が日米通算155勝を挙げ、42歳でも現役を続けているのは驚異的だ。

ストライクゾーンを9分割したコース別の被打率は下の通り。

和田毅のコース別被打率


対右打者、対左打者ともに投球割合15%以上を示す赤色に唯一染まっているのが外角低め。右打者の被打率は.111、左打者は.174といずれも封じ込んでいる。

真ん中高めは打者の左右を問わず被打率が高くなっているが、外角低めを中心に四隅に丁寧に投げ込んでいることが分かる。

奪三振率は60投球回以上の投手でリーグ4位

島根・浜田高時代に夏の甲子園でベスト8入りし、早稲田大では江川卓の東京六大学記録を更新する通算476奪三振をマーク。奪三振の多さはプロ入り後も変わらず、ルーキーイヤーの2003年は189投球回で195三振を奪い、奪三振率は9.29だった。

年齢を重ねて投球イニングこそ減っているものの、奪三振率は相変わらず高い。2022年は81投球回で75三振を奪い、奪三振率は8.33。規定投球回には達していないが、60投球回以上の投手ではロッテ佐々木朗希(12.04)、ソフトバンク千賀滉大(9.75)、オリックス山本由伸(9.56)に次いでリーグ4位なのだ。

5度の最多奪三振に輝いた楽天・則本昂大(7.49)、同僚の石川柊太(7.00)、楽天・田中将大(6.96)、西武・高橋光成(6.56)、日本ハム・伊藤大海(6.48)らを上回っている。そう考えると、第一線で活躍を続けるベテラン左腕の凄さが分かるだろう。

大黒柱の千賀滉大がメジャー移籍し、開幕ローテは初の開幕投手を務める大関友久、石川柊太、東浜巨、有原航平、藤井皓哉、板東湧梧らと争う。勝ち残るのは簡単でないが、和田ならローテ入りしても不思議ではない。松坂世代「ラストサムライ」の20年目がもうすぐ始まる。

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