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WBC侍ジャパン緊急招集のソフトバンク牧原大成の特長は?データから解析

2023 3/4 06:30SPAIA編集部
侍ジャパンに追加招集されたソフトバンクの牧原大成,ⒸSPAIA
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鈴木誠也の辞退で大抜擢

第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)に出場する日本代表「侍ジャパン」に選ばれていた鈴木誠也(カブス)が左脇腹痛で辞退したため、代役として牧原大成内野手(ソフトバンク)が緊急招集された。

広島時代に6年連続3割25本塁打をマークし、東京五輪でも日本代表の4番を務めたスラッガーの辞退は痛手であることは間違いない。

代役に抜擢された牧原も相当なプレッシャーがあるだろう。自身のインスタグラムでは「初めてのWBC。色々悩んで家族とも話して出した結果、出場する事になりました!本当に今までに経験した事ないようなプレッシャーが待ち受けてると思います。ただこの素晴らしいチームでプレーできる事を誇りに思ってしっかりと頑張りたいと思います!」と胸の内を綴っている。

鈴木誠也の仕事は鈴木誠也にしかできないが、牧原にも牧原にしかできない仕事がある。チームにとっても、本人にとっても、正しい選択だったと思える活躍が期待される。

万遍なく打ち分ける広角打法

牧原は熊本・城北高から2010年育成ドラフト5位で入団した30歳。同年は2位で柳田悠岐、育成4位で千賀滉大、同6位で甲斐拓也という後の日本代表クラスを輩出する大当たりのドラフトだった。

少しずつ着実に力を付けてきた牧原は2022年、自己最多の120試合に出場し、規定打席にはわずかに届かなかったものの打率.301、6本塁打、42打点、13盗塁をマーク。推定年俸4500万円から8000万円にはね上がった。

ストライクゾーンを9分割した2022年のコース別打率は以下の通りとなっている。

牧原大成のストライクゾーン別打率


打率3割以上を示す赤色は真ん中から内角高めに集中。特にど真ん中は打率.432、真ん中高めは.414と高打率を残している。まさしく「スイートスポット」と言えるだろう。

逆に打率2割未満を示す青色は外角低め。打率.194、23三振と極端に悪い。牧原は左打ちだが、対右投手は打率.299、対左投手は同.306と左腕を苦にしない。にもかかわらず外角低めの打率が極端に低いのは不安材料ではある。

もうひとつ、牧原の特長が広角打法だ。2022年の打球方向データは以下の通りとなっている。

牧原大成の打球方向データ


最も多かったのが左中間の24%。最も少なかったレフト方向でも16%あり、どの方向にも万遍なく打ち分けている。これこそが牧原の打撃の真骨頂とも言えるだろう。

内外野守れるユーティリティプレーヤー

栗山英樹監督が牧原を選んだもうひとつの理由はユーティリティ性だろう。内野手登録ながらセンターで起用されることも多く、セカンド、サード、ショートなど内外野どこでも守れる器用さを持つ。

短期決戦では限られたメンバーでやり繰りする必要があるため、アクシデントなど不測の事態にも対応しなければならない。「史上最強」と言われる今回の侍ジャパンは大型のスラッガータイプが多く、裏を返せば器用さに欠けるとも言える。牧原のようなユーティリティプレーヤーは重宝される可能性もあり、意外に出番は多いかも知れない。

ソフトバンクの公式ツイッターで公開されたインタビュー動画では「不安しかないですね、正直」と心境を吐露している。ドラフト同期入団でメッツに移籍した千賀からは「俺も出たかった」と連絡があったことも明かした。

突然訪れた世界最高の晴れ舞台。ニューヒーローは意外なところから出てくることは歴史が証明しているが、果たして…。

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