2022年は5本塁打、33打点に終わった坂本
2022年は5年ぶりBクラスとなる4位に終わった巨人。3年ぶりのV奪回を掲げる原辰徳監督の懸案のひとつが坂本勇人だろう。
昨季は83試合に出場して打率.286、5本塁打、33打点。出場が100試合を割ったのはルーキーイヤーの2007年以来、本塁打と打点も同年を除いて最少だった。加えて週刊誌を賑わせた醜聞もあり、プロ入り後最も苦しんだシーズンだったかも知れない。
坂本が欠場した試合は中山礼都や北村拓己、廣岡大志、湯浅大らがショートでスタメン出場。坂本のコンバート案も囁かれるなど心中穏やかではなかっただろう。プロ17年目の34歳はショートへのこだわりを隠そうとしない。
内野の中で最も難しく激務とされるショートは、逆に言えば一度レギュラーを獲れば簡単に取って代わられるポジションではない。巨人の球団史を振り返ると、時代を彩った名手が名を連ねている。
広岡達朗、黒江透修、河埜和正、川相昌弘、二岡智宏
1950年代から60年代にかけてショートを守ったのが広岡達朗だ。早稲田大から入団1年目にレギュラーを奪い新人王に輝くと、阪神・吉田義男と比較された華麗な守備でファンを魅了した。引退後はヤクルトと西武で監督を務め、いずれも日本一に導いた。
その後を受け継いだのが黒江透修。通算1135試合に出場し、V9時代の巨人を支えた。
1970年代から80年代前半にかけてショートを守ったのは河埜和正だった。俊足巧打で通算1430試合に出場して115本塁打、153盗塁、157犠打をマークした。
その後、岡崎郁や鴻野淳基らを経てレギュラーをつかんだのが川相昌弘(現一軍総合コーチ)。ゴールデングラブに6度輝いた堅守と現在もNPB記録の通算533犠打をマークした小技でチームに貢献し、替えの利かない存在だった。
2000年代になると二岡智宏がショートを守った。近畿大から逆指名で入団し、2003年には29本塁打を放つなどパンチ力も兼ね備えていた。日本ハム移籍後の2013年に引退するまで通算173本塁打を放った。
ドラフト4位・門脇誠が上昇中
その二岡からレギュラーを奪ったのが坂本勇人。約15年にわたって巨人のショートを守り続けているのだ。簡単に譲りたくないのは当然だろう。
通算2205安打、266本塁打、944打点。巨人に限らずプロ野球界全体を見渡しても球史に残る名ショートであることは間違いない。
ただ、今キャンプで猛アピールしている新人がいる。ドラフト4位の門脇誠は、創価高1年から創価大4年まで公式戦116試合999イニングをフル出場したという強靭な肉体の持ち主で、原監督も「ストロング門脇」と命名する期待のホープ。肉体だけでなく、球際に強い守備とパンチ力もある打撃で存在感を放っている。
坂本からレギュラーを奪うのは並大抵のことではない。とはいえ、坂本自身も高卒2年目の2008年にケガで離脱した二岡智宏からポジションを奪った。ベテランと呼ばれる年齢に差し掛かり、ちょっとしたことで新旧交代が起こらないとも限らない。
坂本がシーズンを通して活躍できるかどうかはチームの浮沈にかかわる重要案件。いずれにせよ、激しい競争がお互いを高めてくれるのは間違いないだけに若手の台頭は歓迎すべきことだ。歴代ショートに新たに名を連ねる選手が出現するか、あるいは坂本がまだまだ健在を誇示するか注目したい。
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