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広島カープ伝統の機動力が衰退…盗塁数減少と併殺打増加は解消できるか?

2023 1/18 06:00SPAIA編集部
広島の野間峻祥,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

3連覇当時に比べて盗塁数激減

新井貴浩新監督が就任し、4年連続Bクラスから巻き返しを図る広島カープ。課題のひとつに挙げられるのが2022年は12球団最少だった盗塁数だ。

5位に終わった昨季のチーム盗塁数はわずか26個。阪神・近本光司(30盗塁)とロッテ・高部瑛斗(44盗塁)の両リーグ盗塁王一人より少ない。それと比例するように増えたのが併殺打。こちらも12球団最多の112を記録している。

2016年から3連覇を達成した頃は走れるチームだった。年度別の盗塁数と併殺打は下表の通りとなっている。

広島の年度別盗塁と併殺打


3連覇した3年間はいずれも盗塁数リーグトップ。併殺打も2016年と18年はリーグ最少、17年も2番目に少なかった。

それが成績下降とともに盗塁数も減少。併殺打は急増したわけではないが、2022年は盗塁、併殺打ともリーグワーストだった。

選手別に見ると、2016年は田中広輔がチーム最多の28盗塁、丸佳浩が23盗塁、鈴木誠也が16盗塁、菊池涼介が13盗塁、赤松真人が12盗塁と2桁成功者が5人もいた。

2017年は田中広輔が35盗塁でタイトル獲得。2018年は32盗塁の田中に次いで、野間峻祥がチーム2位の17盗塁を決めている。

しかし、2019年は田中が出場機会を減らし、盗塁も8個に激減。鈴木誠也が25盗塁をマークしたものの、2桁成功者は菊池涼介と野間峻祥(いずれも14盗塁)を含む3人となった。

さらに2020年には17盗塁の堂林翔太が唯一の2桁成功者。2021年は鈴木誠也の9盗塁がチーム最多となり、2022年は7盗塁の野間峻祥がチーム最多、2位は曽根海成の4盗塁という激減ぶりだった。

26盗塁は2リーグ分立後ワースト2位

田中広輔の出場機会減少、鈴木誠也のメジャー移籍など明らかな要因もあるとはいえ、チーム合計26盗塁は少なすぎるだろう。球団史上最少の不名誉な記録であるばかりか、2リーグ分立後では2004年巨人の25盗塁に次ぐワースト2位の少なさだった。

かつての広島は機動力が伝統と言ってもいいほど走れる選手が多かった。高橋慶彦、正田耕三、野村謙二郎、緒方孝市、梵英心ら盗塁王に名を連ねた選手は多く、現状はあまりにも寂しい。

新井監督も機動力アップは重点課題として取り組んでいくだろう。菊池涼介や野間峻祥、秋山翔吾ら実績のある選手はもちろん、小園海斗や羽月隆太郎ら若手選手もまだまだ盗塁数を増やせるはずだ。育成ドラフト1位のルーキー名原典彦(青森大)も俊足が売りだけに、支配下登録が待たれる。

2022年、広島はチーム打率.257で12球団トップだった。しかし、得点は12球団3位の552点。本塁打が少ないこともあるが、盗塁増加や次の塁を狙う意識改革によって得点力はもっと上がるはずだ。

思い起こせば2016年は25年ぶりの優勝だった広島。再び長い低迷期に入らないためにも機動力の復活は大きなテーマとなりそうだ。

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