タイトル獲っても現状維持でモチベーション低下?
楽天・島内宏明外野手(32)が12月14日、現状維持の推定年俸1億2000万円プラス出来高払いで契約を更改し、2023年シーズン終了後にFA宣言したいと球団に申し出たことが一斉に報じられた。
島内は2020年にFA権を取得したが、行使せずに残留し、新たに4年契約を結んだ。翌2021年には初タイトルとなる打点王、2022年は最多安打に輝きながら年俸は現状維持。2023年は4年契約の3年目だが、モチベーションが上がらないことを理由に契約年数の1年短縮を求めたという。
1年ごとに契約を更新するプロ野球選手にとって、本来なら複数年契約は有難い話。身分が保証され、収入も安定することで人生設計も立てやすくなる。特に成績が下がったシーズンは、その有難みを実感するだろう。
ただ、島内は4年契約を結んだ後に2年連続でタイトルを獲得。今季も142試合に出場して打率.298、14本塁打、77打点の好成績を残した。単年契約なら今頃、2億円を超えていてもおかしくない。
特に今オフは同じ左打ちの森友哉が西武からオリックスへ、近藤健介が日本ハムからソフトバンクへ、ともにFA宣言して大型契約で移籍することが決まった。隣の芝生が青く見えたとしても不思議ではない。
承認すれば起用法に影響を及ぼす可能性も
とはいえ、球団も簡単にOKできるはずもなく、今後も協議を継続するという。そもそも契約書にハンコを押したのは島内自身だ。それを自ら反故にするのは、わがままと取られても仕方ない。
島内が球団に対して駆け引きを仕掛けたのか、純粋な本心なのかは不明だが、契約更改後にはサイン色紙に「現状維持」としたためて写真に納まった。その4文字に込められた意味は球団へのアピール、あるいは皮肉と受け取ることもできる。
ほとんどの場合、FA権を取得しても「シーズン中は野球に集中したい。オフになってから考えます」などとコメントするが、前年オフから翌年のFA宣言を予告するのは、メジャー挑戦を除けば異例中の異例だ。
仮に来オフのFA宣言を球団が了承すれば、石井一久監督の起用法にも影響を及ぼす可能性がある。1年後に出ていくと決まっている選手を重用するより、有望な若手に経験を積ませた方が得策と考えたとしても不思議ではない。
将来に禍根を残しかねない前代未聞の「FA宣言宣言」。今後の成り行きが注目される。
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