今年も欲しい即戦力の先発候補
今季見事に2年連続でのリーグ優勝を成し遂げたヤクルト。終盤にはDeNAの猛追を受けたが最後は力で振り切り、連覇達成。クライマックスシリーズでも阪神に3連勝と危なげない戦いで日本シリーズ進出を決めた。
球団初の連覇目指す日本シリーズの直前となる10月20日に開催されるドラフト会議は、来季の戦力強化において最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含めヤクルトのドラフト補強ポイントを考えていく。
チーム防御率はリーグ4位の3.52だったヤクルト。先発防御率はリーグワーストの3.84で、昨年大車輪の活躍を見せた奥川恭伸がわずか1試合の登板にとどまり、昨年に続き2桁勝利投手なしに終わった。
中6日以上間隔をあけて登板させる独自の起用法で何とか乗り切ってはいるが、20試合以上先発したのは、小川泰弘、サイスニード、原樹理の3人のみ。年齢分布的にも主力は30歳前後に偏っており、今年も上位で即戦力となる先発投手を指名しておきたいところだ。
一方、リリーフ陣は防御率3.08でリーグ3位と安定していた。抑えのマクガフはリーグ2位の38セーブを挙げ、清水昇、田口麗斗、石山泰稚の3人が防御率1点台。2020年ドラフト1位の木澤尚文らの台頭もあり、分厚い陣容を誇った。
最多登板もマクガフと木澤の55試合で、一部の投手に負担が集中することなく運用されていた。年齢分布的にも各世代に満遍なく人材がおり、補強の優先度としては高くないだろう。
12球団屈指の野手陣は将来性重視の指名か
捕手では中村悠平が下半身のコンディション不良で出遅れたが、その間に2年目の内山壮真、古賀優大、松本直樹が台頭。正捕手不在の穴を埋めた。ただ、コーチ兼任だった嶋基宏が現役を引退し、支配下は5人に。育成選手が2人いるとはいえ、不測の事態に備え1人は指名しておきたいところだ。
内野手は一塁に助っ人のオスナ、二塁に山田哲人、三塁に村上宗隆、遊撃に長岡秀樹と12球団屈指の布陣。即戦力の補強は必要ないだろう。指名するなら将来性の高い高校生となりそうだ。 “村神様”が数年後にメジャーへ挑戦する可能性や20代が左打ちに偏っていることも考慮して、右の長距離砲候補を優先したい。
外野手はセンターが塩見泰隆、ライトはサンタナで埋まっており、レフトのみレギュラー不在の状況。最多の60試合に先発した青木宣親ももう40歳となるだけに、後継者を探したい。スーパーサブに山崎晃大朗、昨年ドラフト2位で丸山和郁と俊足巧打タイプは揃っているため、こちらも将来20本塁打以上が期待できる強打タイプの高校生を狙いたい。
先発投手の確保が最優先
以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。
1.即戦力の先発投手
即戦力の先発候補を最優先で確保したい。大学No.1右腕の荘司康誠(立教大)が筆頭候補。188センチの長身から150キロ前後の直球とカットボール、スプリットなどを織り交ぜ、好調時は手の付けられない投球を見せる。今秋は不調気味だが、評価は変わらないだろう。
その他では、菊地吏玖(専修大)や金村尚真(富士大)ら大学生に、益田武尚(東京ガス)、吉村貢司郎(東芝)ら社会人右腕も候補となる。良い投手が残っていれば、1、2位連続で投手を指名するのもありだろう。
2.強打の外野手
左翼のレギュラーが不在の外野手を2番目の補強ポイントとしたい。高校生なら西村瑠伊斗(京都外大西高)が今夏評価を上げた。身長は178センチながら高校通算54本塁打を放った左投げ左打ちのスラッガー。力感のないスイングから強烈な打球を飛ばす好打者だ。
その他にも古川雄大(佐伯鶴城高)三塚琉生(桐生第一高)らが候補となる。長打力を重視するなら大学生だが澤井廉(中京大)がピカイチ。2位で残っていたら迷わず指名したい。
3.長距離砲の内野手
今年は強打の内野手候補があまり多くなく、内藤鵬(日本航空石川高)、山田健太(立教大)ら上位指名が予想される選手が、12球団最後の指名となる2位で残っている可能性は限りなく低い。3位以降で候補となるのは、村上宗隆の弟・慶太(九州学院高)。190センチ94キロと兄を上回る立派な体躯を誇り、長距離砲候補として獲得するのはありだろう。
2年連続のリーグ優勝を果たし、球団初の連覇を目指して日本シリーズに臨むヤクルト。その陣容を改めて考察すると、充実度は12球団一と言っても過言ではない。今年のドラフトでも将来有望な選手たちを指名し、1990年代のような常勝軍団を創り上げたい。
※表の年齢は2022年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月7日時点)
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