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2022年阪神のドラフト補強ポイント 強打の外野手と堅守のセカンド、打てる捕手も

2022 10/12 11:00SPAIA編集部
阪神甲子園球場,Ⓒbeeboys/Shutterstock.com
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Ⓒbeeboys/Shutterstock.com

投手陣は盤石、将来を見据えて高校生を補強か

開幕9連敗しながら前半戦で借金を完済し、最終的には68勝71敗4分けで3位の阪神。矢野燿大監督のラストシーズンはクライマックスシリーズ進出を果たして何とか面目は保った。

2005年以来遠ざかる優勝に向けて何が足りないのか、10月20日に開催されるドラフト会議は戦力強化において最重要の場となる。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含め阪神のドラフト補強ポイントを考えていく。

阪神の先発投手,ⒸSPAIA


チーム防御率2.67は12球団トップの阪神。その大黒柱が2年連続13勝で最多勝に輝いた青柳晃洋だ。12月で29歳と年齢的にも脂の乗る時期で、当面は先発ローテーションの中心を担うだろう。

さらに今季9勝の西勇輝、同じく9勝の左腕・伊藤将司、2桁勝利を3度マークした実績を持つ秋山拓巳、今季6勝を挙げた21歳の西純矢、トミー・ジョン手術から復活した才木浩人、左肘手術からの復活を目指す髙橋遥人ら実力者が揃っている。先発投手に関しては緊急的な補強は不要だろう。獲るなら将来性の高い高校生だ。

阪神のリリーフ投手,ⒸSPAIA


続いてリリーフ陣。クローザー候補として獲得したカイル・ケラーは大きな誤算だったが、代役を務めた岩崎優が28セーブをマークした。セットアッパーだった左腕にクローザーとしての適性が証明されたことは怪我の功名だろう。来季、岩崎がクローザーに回るのか流動的だが、他に適任がいなければ任せることも十分に可能だ。

中継ぎ陣も信頼の置けるスタッフが揃っている。43ホールドでタイトルを獲得した湯浅京己、53試合に登板した岩貞祐太、52試合登板の浜地真澄らでリードを守り切った試合は数多い。懸念があるとすれば岩崎、岩貞はともに30代で、やや高齢化している。後に続く世代を増強しておきたい。

5年連続リーグ最多失策…攻守両面で補強必須

阪神の捕手,ⒸSPAIA


捕手では梅野隆太郎がチーム最多の100試合に出場したが、打率.228、4本塁打と物足りない成績。坂本誠志郎は60試合、長坂拳弥は27試合に出場したものの、ともに打率1割台と打撃面で課題が多い。ポジション柄、リード面も含めた守りが優先なのは当然だが、「打てる捕手」がいれば欲しいのは間違いないだろう。

阪神の内野手,ⒸSPAIA


内野手は12月で28歳になる大山悠輔が23本塁打、87打点をマークした。来季は自身初の30本塁打が期待される。今季はレフトで起用されることもあったが、本職は内野だ。

1番ショートで中野拓夢が固定できたのも大きい。打率.276、23盗塁と好成績を残した。内野手登録の佐藤輝明は外野を守ることも多いが、サードかライトか固定した方がいいだろう。

最大の懸案はセカンド。今季は糸原健斗や小幡竜平、木浪聖也、山本泰寛らが務めたが固定できていない。5年連続リーグ最多失策を記録している阪神は、攻守両面で内野陣を再構築する必要がある。キャンプで鍛えるのはもちろんだが、補強の緊急性も高いと言えそうだ。

阪神の外野手,ⒸSPAIA


外野手では、30盗塁でタイトルを奪回したセンター近本光司は不動。ただ、両翼は糸井嘉男が引退し、仮に佐藤や大山が内野に専念すれば確固たるレギュラーがいない。今季123試合に出場した島田海吏も絶対的な信頼を得るまでには至っておらず、助っ人外国人の去就も不明だ。

2016年の新人王・髙山俊やパワーのある小野寺暖、全国制覇した履正社高で4番を務めた井上広大、智弁学園高から昨年のドラフト4位で入団した前川右京ら「候補」はいるものの未知数。得点力アップは喫緊の課題だけに重点的に補強したい。

弱点は明確、補強ポイントにハマる適材は?

以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。

1.強打の外野手
2005年以来の優勝を果たすには、攻撃面のテコ入れは不可欠だ。高校生なら浅野翔吾(高松商高)が筆頭候補。高校通算68本塁打を誇るスラッガーで今夏の甲子園で3発放ったのも記憶に新しい。巨人が既に1位指名を公表、競合覚悟での指名はあるか。蛭間拓哉(早稲田大)、森下翔太(中央大)ら大学生に候補が多く、2位で狙うのもありかもしれない。

2.堅守のセカンド
セカンドに絶対的なレギュラーが座れば二遊間は落ち着く。打てるに越したことはないが、まずは守備面で信頼の置ける選手が欲しい。上位で指名するなら田中幹也(亜細亜大)。守備走塁は既にプロの中でもトップレベルと言っても過言ではない。他にも林琢真(駒澤大)、友杉篤輝(天理大)らが候補となるが、今年は守備に定評のある二遊間の人材に乏しいだけに、どの順位で指名するか悩みどころだ。

3.打てる捕手
捕手も課題のひとつ。チームの得点力が足りていないことを考えると、打撃面でも期待できる捕手がいれば理想的だ。1位の枠を割けるなら大阪桐蔭高の松尾汐恩を指名したい。甲子園で5本塁打を放った打てる捕手。遊撃から転向2年目ながら守備もハイレベルだ。3位以降で狙うなら日本生命の立松由宇、桐蔭横浜大の吉田賢吾らが候補となる。

阪神は2006年以降の17年のうち12シーズンでAクラス入りしており、優勝していないとはいえ、低迷しているわけではない。あと一歩、勝ち切るために重要なのは、得点力と守備力の強化だろう。ドラフトでどこまで弱点を補えるかは、来季に大きく影響しそうだ。

※表の年齢は2022年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月7日時点)

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