先発投手陣の安定に加えリリーフ陣も盤石のDeNA
毎年セ・パ交流戦の結果がペナントレースの後半戦に大きな影響を及ぼすと言われている。DeNAの交流戦成績は9勝9敗で6位だったが、7月は貯金3、8月は貯金12と大きく勝ち越した。セ・リーグの球団では、交流戦1位のヤクルト、同2位の阪神に次ぐ3位で、交流戦の影響があると結論付けるには説得力に欠ける。
6月～8月のDeNAの成績の変動を見てみると、6月は11勝12敗、7月は10勝7敗2分け、8月は18勝6敗となっている。この3カ月間で4連勝5回、8連勝1回という破竹の勢いだ。さらに3点差以内のゲームに絞ってみると6月は7勝10敗、7月は8勝6敗、8月は13勝2敗となり、8月に入って接戦をことごとく勝ちにつなげているのが分かる。
接戦を制している要因のひとつに、先発ローテーションの固定化が挙げられる。7月の19試合で先発登板した選手は全部で9人。一方、8月は5試合多かったにもかかわらず7人と7月よりも少ない。今永、浜口、ロメロ（石田）、大貫、石田（坂本）、京山（坂本）が毎週ほぼ決まった曜日に投げられているので、コンディション調整はしやすかっただろう。
実際、先発投手の月間平均防御率を見てみると、7月は4.29なのに対して8月は3.19と上がっている。8月は今永、大貫、浜口の3人で11勝を稼ぎ、中でも今永は登板した5試合全てでクオリティスタート（6回以上自責点3以内）を決め、球団の左腕では1957年8月の権藤正利（大洋）以来65年ぶりに月間5勝を挙げる大車輪の活躍を見せた。
さらに中継ぎ陣の安定感も見逃せない。8月はエスコバーと伊勢で18ホールドを稼ぎ、抑えの山﨑も14試合に登板して防御率0.00（11セーブ）と盤石の布陣でチームを支えている。先発陣が長いイニングを投げ、中継ぎとリリーフも安定した投球を見せることで、キッチリ勝ちにつなげられる。これが最近のベイスターズの強さの一因だ。
打撃陣の隠れた進化
では、先制点を生み出す打撃陣の成績はどうか。6月のチーム平均得点は3.74、7月は3.47、8月は4.25と8月に得点力が上向いている。
9月6日終了時点で規定打席に達している打者は桑原、佐野、牧、宮﨑の4人（ちなみに他球団の規定打席到達者も軒並み4～5人なので、この数字は極めて平均的といえる）。4人の平均打率を月別で見ると6月は.281、7月は.313、8月は.284と7月より8月の方が下がっているが、OPSの平均は6月.771、7月.816、8月.839と上向いているのだ。
そこで四球についても4人の月間の平均を見てみると6月1.13、7月1.16、8月1.63と8月に飛躍的に増加。併殺打の平均も6月0.39、7月0.68、8月0.29と8月に大きく下がっている。つまり打率は伸びていないが、ボール球に手を出さず、チャンスを潰さない手堅さが攻撃陣の隠れた進化といえよう。
ペナントレース優勝の可能性
さて、9月6日終了時点での順位は1位に7ゲーム差の2位、3位阪神とは4.5ゲーム差がついている。8月の調子を維持できればクライマックスシリーズ進出は、ほぼ間違いない状況だ。
では、ペナントレース優勝の可能性はどうか。昨年に続いて、今季もぶっちぎりの強さを見せるヤクルトに対してどこまで肉薄できるかがファンとしては興味の的だろう。
DeNAの残り27試合は、セ・リーグで一番多く、ヤクルトの背中を追う立場としては戦いやすい。仮に2勝1敗ペースでいけば、18勝して80勝に届く計算になる。
残り試合の対戦相手を見てみると、ヤクルト5試合、阪神3試合、巨人9試合、広島2試合、中日6試合となっていて、Bクラスとの対戦が多く残っている。特に低迷する巨人と中日だけで15試合もあり、9月23日からのヤクルトと最後の直接対決3連戦を終えた後に中日戦と巨人戦が計6試合も残っているのはかなり有利な状況と言えるだろう。
今季これまでの対戦成績は対巨人が9勝6敗1分け、中日戦が15勝3敗1分けといずれも勝ち越している。ヤクルトとの直接対決に勝ち越すことが絶対条件だが、DeNA24年ぶりの優勝もあながち夢物語ではない。
※成績は2022年9月6日現在
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