7月に骨折で抹消も高打率キープ
プロ野球のシーズンも残りわずかとなり、タイトル争いも佳境に入った。パ・リーグの打率トップは日本ハムの松本剛外野手(29)。帝京高から入団11年目にして大ブレイクを果たし、初タイトルも見えてきた。
新庄剛志ビッグボスによって開幕戦は4番に抜擢されたが、5月から1番での起用が増え、打率3割5分台を快走。7月20日に左膝蓋骨下極骨折で抹消されたものの、8月16日に復帰後も高打率(.355)をキープしている。
ブランクをつくったことで規定打席(443)に届かないことも心配されたが、すでに393打席に立っており、順調にいけば届きそうな見通し。一時トップだった安打数は楽天・島内宏明に抜かれたものの、打率では昨年まで2年連続首位打者だったオリックス吉田正尚の.322と差が大きく、首位打者は手の届くところまで来ている。
広角打法で苦手コースなし
松本の強みは苦手コースがないことだ。ストライクゾーンを9分割したSPAIAのゾーン別データでは、見事に打率3割以上を示す赤色に染まっている。
外角高めのみ3割未満だが、それでも打率.290と低くない。内角低めの.500を筆頭に、どのコースも軒並み高打率だ。
驚異の「全コース打ち」を支えているのが、広角打法だろう。打球方向を5分割したSPAIAのデータでは、最も多いのがセンター方向の25%。続いて右中間の22%、レフトと左中間の19%、ライトの15%となっている。どのコースも逆らわずに打ち返す打撃こそ、松本の真骨頂だ。
歴代の首位打者は大下弘、張本勲、小笠原道大、稲葉篤紀
これまで日本ハムで首位打者に輝いたのは、前身球団を含めても4人しかいない。東急時代の大下弘は、1リーグ時代の1947年に打率.315、2リーグ分立した1950年に.339、翌1951年に.383で3度も首位打者を獲得。本塁打王にも3度輝いており、「赤バット」の川上哲治と並んで「青バット」で人気を博した。
NPBのみでは唯一の3000安打を記録した張本勲は、なんと首位打者に7度も輝いている。1959年に東映に入団し、3年目の1961年に打率.336で初タイトルを獲得すると、1967年から4年連続、1972年、1974年とこの頃のタイトルをほぼ独占していた。球団史に残る大打者であることは説明の必要もないだろう。
日本ハムに球団名が変わって初めての首位打者は小笠原道大。1996年ドラフト3位で入団し、2002年に打率.340、翌2003年も.360の高打率で2年連続首位打者に輝いた。2006年には32本塁打、100打点で二冠王に輝き、巨人、中日とわたり歩いて通算打率.310をマークした。
侍ジャパンの監督を務めた稲葉篤紀現日本ハムGMも2007年に打率.334で首位打者に輝いている。法政大から1994年ドラフト3位でヤクルト入りし、2005年に日本ハム移籍。2007年は176安打で最多安打のタイトルも獲得するなど、通算2167安打をマークした。
これまで2017年に115試合出場して打率.274の成績を残したのがキャリアハイで、目立った実績のなかった松本の今季推定年俸は2050万円。このまま初タイトル獲得となれば、球団史に名を残すのはもちろん、バラ色のオフが待っていそうだ。
※成績は9月6日現在
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