8月20日の巨人戦で今季初勝利
阪神の藤浪晋太郎投手(28)が8月20日の巨人戦(東京ドーム)で7回6安打5三振1失点と好投し、今季初勝利を挙げた。
昨年6月13日の楽天戦以来、先発に限れば昨年4月16日のヤクルト戦以来の白星。8月6日に一軍復帰してからは6.1回2失点(6日・広島戦)、7回1失点(13日・中日戦)と安定した投球を続けていたが、ようやく自身に勝利がついた。しかも、ここ2試合は無四球と、コントロールに苦しんだかつての姿も影を潜めている。
2年連続開幕投手として迎えた2022年。3月25日のヤクルト戦は7回3失点で勝ち投手の権利を持って降板したが、リリーフ陣が打たれて逆転負け。チームはそこから9連敗を喫し、自身も新型コロナウイルス陽性と判定されたため4月13日に抹消された。
5月31日に一軍復帰後は中継ぎとして起用されていたが、6月13日に再び抹消。それでも腐ることなく二軍で結果を残し、8月6日に一軍に戻った。今季11試合目、12球団の開幕投手で最も遅い初勝利だった。二軍では9試合登板、4勝1敗、防御率1.77という成績に苦労の跡が見て取れる。
プロ3年目までと変わらない奪三振率
大阪桐蔭のエースとして春夏連覇したのが2012年。ドラフト1位で4球団競合の末に阪神入りし、1年目から10勝を挙げた。2年目に11勝、3年目には14勝を挙げて、221奪三振でタイトルを獲得。高卒3年で計35勝をマークし、押しも押されもしない虎の若きエースとなった。
4年目以降の低迷を今さら悔いても仕方ない。センバツで負かした同期の大谷翔平はメジャーでMVPに輝く大スターになった。現在は比較されることすらほとんどないが、藤浪には藤浪の野球人生がある。10年目とはいえ、まだ28歳。肉体的にも精神的にも伸びる余地は十分にあるだろう。
遠回りしたが、ようやく大台に届きそうな記録がある。通算1000奪三振だ。10年で積み上げた奪三振は983。あと17個で大台に到達する。
奪三振数はプロ3年目をピークに減っているが、奪三振率(K/9)は大きく変わっていない。投球回数が違うとはいえ、藤浪の奪三振率が最も高かったのは2020年の10.22だ。今季もここまで8.55と高い数字を残している。平均で150キロを優に超えるストレートの球威は落ちていない。
本来ならとっくに達成していたはずの1000奪三振。大谷翔平が8月9日(日本時間10日)のアスレチックス戦で日米通算1000奪三振を達成したのも偶然に過ぎない。最高峰のメジャーでも二刀流を貫く大谷と藤浪を同列に扱うことはできないのは当然だが、2人の投手成績を比較してみると意外に近い数字が並んでいることに驚く。
大谷は日米通算1013奪三振、65勝。藤浪は983奪三振、55勝。歩んできた道は違うが、積み上げてきた実績はそれほど遠くない。もちろん両者ともそんな意識はないだろう。しかし、太平洋の向こう側にいるかつてのライバルを密かに追い抜く藤浪を見てみたい。苦労した分、地に足のついた背番号19はもう迷わないはずだ。
※成績は2022年8月22日現在
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