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12球団の捕手事情、西武・森友哉がFA宣言したら手を挙げそうな球団は?

2022 8/7 06:00SPAIA編集部
巨人の大城卓三・西武の森友哉・阪神の梅野隆太郎,ⒸSPAIA
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FA宣言なら争奪戦必至の森友哉

西武・森友哉捕手(26)の周辺が騒がしくなってきた。大阪桐蔭高からドラフト1位で入団して9年目。ソフトバンクの甲斐拓也と並んで推定2億1000万円の現役捕手最高年俸を稼ぐ森は、順調なら今季中に国内FA権を取得する。

シーズン中に本人が去就について口にすることはないだろうが、もしFA宣言となれば2019年に首位打者に輝いた「打てる捕手」を巡って争奪戦となることは必至。とはいえ、森はAランクと見られるため、人的補償や金銭補償のリスクも伴い、簡単に手を出せる選手ではない。そこで12球団の捕手事情を見ながら、獲得する可能性のある球団を探ってみた。

物足りなさ残る阪神・梅野隆太郎、巨人・大城卓三

ヤクルトは2008年から空き番だった古田敦也の背番号27を今季から継承した中村悠平が扇の要を守っている。下半身の張りで開幕は出遅れたが、5月に一軍昇格後はコロナ感染で一時離脱した7月を除いて攻守で活躍。昨年の日本シリーズでMVPに輝き、32歳と年齢的にも脂の乗り切った時期だけに、森の獲得に動く可能性は低いと見られる。

阪神は捕手の中では梅野隆太郎が最多出場だが、打率は2割台前半で3本塁打とバットも湿りがち。絶対的な正捕手とまでは言えない状況で、坂本誠志郎が起用されることも多く、6年目の長坂拳弥も台頭している。梅野はFA権を取得した昨オフに残留を決めて3年契約を結んだものの、梅野以上の好成績が期待できる上、地元・大阪桐蔭高時代に藤浪晋太郎とバッテリーを組んでいた森に全く無関心ということはないだろう。森の高額年俸を支払う資金面でも人気球団の阪神なら不安はないと見られる。

巨人は高橋由伸が背負っていた背番号24を継承した左打ちの大城卓三が正捕手を務めているが、まだ全幅の信頼を置くまでには至らない。小林誠司や岸田行倫らも出場機会は少ない。資金力のある巨人が触手を伸ばしたとしても何ら驚きはないだろう。ただ、自由奔放な言動で知られる森が、規律を求める巨人入りを望むかどうかは別問題だ。

広島は16年目のベテラン會澤翼が君臨している。捕手登録の24歳・坂倉将吾を内野に追いやるだけの経験と絶大な安心感で、当面は正捕手の座を譲りそうにない。元々FA補強には参戦しない球団だけに森の獲得に動くことはないだろう。

中日も7年目の30歳・木下拓哉が存在感を発揮している。昨季は自身初の2桁となる11本塁打を放ち、バットでも貢献した。木下を脅かすような2番手捕手の台頭は望みたいところだが、森の獲得に動く可能性は低そうだ。

強力打線を誇るDeNAは捕手がアキレス腱と言えるかも知れない。今季は9年目の嶺井博希がチーム内の捕手では最多出場だが、目立った成績は残せておらず過去の実績も乏しい。オリックスから移籍5年目のベテラン伊藤光、7年目の戸柱恭孝らもいるが、レギュラーとして固定するには物足りないのが実状だ。昨オフはFA権を取得した宮崎敏郎と6年契約を結び、日本ハムを自由契約になった大田泰示を獲得するなど、戦力補強には積極的な姿勢を示している。森がFA宣言すれば手を挙げる可能性もありそうだ。

西武から獲得実績の多い楽天

オリックスは捕手出身の中嶋聡監督が伏見寅威、若月健矢、頓宮裕真の3選手を使い分けている。各投手との相性もあり、一人に絞るのは難しいのかもしれないが、打力を考えると森は魅力的に映るだろう。地元・大阪の球団として獲得に乗り出す可能性がゼロとは言い切れない。

ロッテは市和歌山高からドラフト1位で入団したルーキー松川虎生が大ブレイク。完全試合を達成した佐々木朗希とのコンビで話題性もあり、今後もスター候補として起用されていくだろう。打力のある3年目の佐藤都志也もおり、捕手を補強する材料は見当たらない。

楽天も捕手が欲しい球団のひとつだろう。昨季途中に巨人から加入した17年目の炭谷銀仁朗が捕手では最多出場。ただ、35歳という年齢から上積みは望みづらく、4年目の太田光や昨年ドラフト2位で入団した安田悠馬もまだまだ成長途上だ。石井一久GM兼監督が西武出身で、岸孝之や浅村栄斗ら西武から移籍した選手も多い。争奪戦になれば資金力にものを言わせる可能性は十分にある。

ソフトバンクは森とともに捕手では球界最高年俸の甲斐拓也がいる。2016年ドラフト3位の九鬼隆平や2019年ドラフト2位の海野隆司、2020年ドラフト3位の牧原巧汰ら有望な若手捕手もおり、獲得に動く可能性は低いと見られる。

日本ハムは宇佐見真吾が捕手では最多出場。プロ7年間で目立った実績はないが、新庄剛志ビッグボスに重用されて貴重な経験を積んでいる。新型コロナに感染して7月に抹消された後は清水優心、古川裕大、郡拓也、石川亮らが日替わりで起用されている。打てる捕手は欲しいだろうが、昨オフに大田泰示、西川遥輝、秋吉亮を自由契約にしたことからもマネーゲームに参戦するとは考えにくい。

FAにおいて何より重要なのは本人の意思だ。西武はFAで流出した選手が最も多い球団として知られるが、2020年オフにはFA権を取得した増田達至の引き留めに成功するなど一定の成果も挙げている。当然ながら森が残留を選ぶ可能性も十分にあり、今オフの動向が注目される。

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