複数年契約で囲い込む球団が増加
2022年のプロ野球が開幕した。オフが比較的平穏だったこともあり、今季は各チームとも新人や新外国人を除くと顔ぶれは昨季とあまり変わらない。
鈴木誠也がポスティングシステムでメジャー挑戦したが、FA移籍したのは又吉克樹(中日➝ソフトバンク)のみだった。資金力のある巨人やソフトバンクが育成にシフトしていることや、FA権を取得する見込みの選手は早いうちから複数年契約を結んで囲い込む球団が増えたことから、今後も国内FA権を行使して他球団に移籍する選手は減っていくかも知れない。
それでも、仮にFA宣言すれば争奪戦になりそうな候補はいる。順調にいけば今季中に国内FA権を取得すると見られる主な選手は以下の通りだ。
【ヤクルト】
西浦直亨
【阪神】
岩崎優、西勇輝
【巨人】
丸佳浩
【広島】
安部友裕、野間峻祥、西川龍馬
【中日】
岡田俊哉、松葉貴大、高橋周平、加藤翔平
【DeNA】
三嶋一輝、髙城俊人、嶺井博希、桑原将志
【オリックス】
伏見寅威
【ロッテ】
田村龍弘、中村奨吾、三木亮、岡大海
【楽天】
松井裕樹、涌井秀章、辛島航、炭谷銀仁朗、浅村栄斗
【ソフトバンク】
武田翔太、和田毅、髙田知季
【西武】
武隈祥太、森友哉、外崎修汰、中村剛也
ロッテ田村龍弘、中村奨吾ら注目
すでに複数年契約を結んでいる選手も少なくないため、オフの動向はハッキリとは見通せない。パ・リーグでは楽天に主力級が並ぶが、松井裕樹は4年契約の3年目。浅村栄斗は今季で4年契約満了となるが、仮にFA宣言しても推定年俸5億円だけに簡単に手を出せる球団は少ないだろう。
ロッテにも、仮に宣言すれば触手を伸ばす球団が多そうな選手が並ぶ。光星学院高(現八戸学院恒星)から入団10年目の捕手・田村龍弘は、高卒ルーキーの松川虎生に開幕スタメンを譲り、内心穏やかではないはずだ。推定年俸も6500万円と高額ではないのも、他球団からは魅力的に映るだろう。
早稲田大からドラフト1位で入団して8年目の中村奨吾も昨季はフル出場して打率.283、9本塁打、67打点、12盗塁の好成績。オフの契約更改では単年契約を結んだが、球団としては是が非でも残ってもらわないと困る選手だ。3日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けて登録抹消され、一軍復帰が待たれる。
目を引くのは西武の森友哉だが、3日に右示指基節骨骨折で登録抹消された。大阪桐蔭高から入団9年目で、2019年に首位打者に輝くなど「打てる捕手」としての実績は群を抜いている。ソフトバンクの甲斐拓也と並んで捕手としては最高の推定年俸2億1000万円を稼ぐ、球界を代表する捕手だけにケガの状況が気掛かりだ。
外崎修汰も走攻守3拍子揃った内野手で、オフの動向が注目される一人。西武はFAで流出した選手が12球団で最も多いが、2020年オフにはクローザーの増田達至がFA権を行使して残留し、流出阻止に成功している。2022年オフもフロントの手腕の見せどころだろう。
中日・岡田俊哉は格安年俸も魅力?
セ・リーグに目を移すと、中日・岡田俊哉も注目される一人だろう。智弁和歌山高から入団13年目の左腕。主に中継ぎとして通算348試合に登板(今季開幕時点)しており、推定年俸は2400万円と安い。今季の活躍次第では、FA宣言すれば手を挙げる球団はありそうだ。
東海大甲府高から2011年ドラフト1位で中日入りした高橋周平もシュアな打撃が持ち味。プロ11年目だが、推定年俸は7500万円と決して高くはない。
また、阪神の岩崎優は昨季62試合に登板して41ホールドを挙げ、東京五輪にも出場した左腕。3日に国内FA権を取得し、左腕不足の球団からは注目されていると見られるが、人気球団の阪神からFAで移籍した選手は少ない。
新庄剛志、藪恵壹、藤川球児のメジャー挑戦を除くと、生え抜きで国内他球団に移籍したのは1995年オフの仲田幸司(ロッテ)と2009年オフの藤本敦士(ヤクルト)、2017年オフの大和(DeNA)の3人しかいない。昨オフに去就が注目されていた梅野隆太郎も残留しただけに、移籍を決断する可能性は低いかも知れない。
DeNAは三嶋一輝、桑原将志らと複数年契約を締結済み。昨オフも目玉の一人だった宮﨑敏郎が6年契約で残留したが、フロントのこうした努力は長期的に見れば球団の強化につながるはずだ。今年はどんなシーズンオフが待っているだろうか。ペナントレースの行方とともに注目したい。
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