エースと呼ぶに相応しい成績
82試合を消化し、37勝43敗2分けでリーグ4位につける阪神(7月7日試合終了時点)。開幕からしばらくは最下位に沈んでいたが、交流戦で12勝6敗と大きく勝ち越すなどチーム状況が改善し、一気に巻き返してきた。主軸の大山悠輔が当たり始めたことも大きいが、何よりも安定感抜群の青柳晃洋の存在が際立つ。
交流戦ではロッテ、日本ハム、オリックス戦で先発し、全ての試合で勝利投手に。今季ここまでの8勝(1敗)はハーラーダービートップ。防御率はリーグ唯一の1点台(1.49)でトップと文句のつけどころがなく、エースと呼ぶに相応しい成績だ。首位のヤクルトとは16.5ゲーム差をつけられているが、今後のさらなる巻き返しをはかるため、青柳の活躍は欠かせない。
外角低めに約30%を集める徹底ぶり
青柳といえば、低めを丁寧につく投球が特長のひとつだが、ゾーン別のデータを見てもその傾向が顕著。左打者に対して最も投球割合が多いのが外角低めで、30.2%をも占める。次に多いのは14.9%を占める外角中程だが、次いで内角低め14.3%、真ん中低め11.1%と続き、低めに球を集めていることがわかる。
右打者でも同様の傾向があり、最も投球割合が多いのが外角低めの31.8%。次が内角低めの15.9%で、以降は外角中程15.9%、真ん中低め12%と続く。これまでに述べた投球割合の多いコースは被打率もほとんどが1割台と低く、青柳の投球が常に安定している裏付けとなっている。
3つの球種の被打率が1割台
球種別の投球割合が最も多いのが、昨季は47.9%で今季は41.0%のツーシーム。昨季よりは割合が減っているが、それでも投球を組み立てる上で軸となっている球種だ。また、特筆すべき点は3つの球種の被打率が1割台であること。
昨季、被打率が1割台だったのはスライダー(.176)だけだったが、今季はスライダー(.143)に加え、シンカー(.171)、カットボール(.190)も1割台。スライダーの投球割合は21.3%、シンカーは13.9%、カットボールは8.4%と分散されているため、打者も的を絞りにくくなっている。ちなみに直球の投球割合は14.3%。昨季の12%よりは少々増えているものの、多くの投手が直球の割合が30~50%程度であることを考えると依然少なく、まさに変幻自在の投球といえる。
昨季と比較して奪空振率が大幅にアップしているのがシンカー(昨季10.7%、今季19.25%)とカットボール(昨季8.75%、今季13.51%)。今季の球のキレが、昨季に増してよくなっていることを証明している。
直近の試合では失点が多い
交流戦では3試合に登板し、23回2/3を投げてわずか2失点と抜群の安定感を見せ、通算防御率は1.49とトータルで見ても安定している。ただ、6月24日の中日戦で7回1/3を4失点(勝敗つかず)、6月17日のDeNA戦で6回4失点(勝利投手)と、リーグ戦再開後に失点が多いことは気がかりだ。
2週連続での対戦となった7月1日の中日戦では、6回1失点に抑えることに成功。今後は、防御率3.75と5球団の中で最も点を取られているDeNA戦で、どんな投球を見せてくれるのか注目だ。
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