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29試合連続安打中の阪神・近本光司 安定した打撃を続けられる要因とは

2022 7/6 11:00浜田哲男
阪神タイガースの近本光司,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

29試合連続安打と絶好調

36勝42敗(7月5日試合終了時点)でリーグ4位につける阪神。首位のヤクルトとは16.5ゲーム差と厳しい状況だが、3位の広島とは2ゲーム差とAクラスを射程圏内としている。

ここまで巻き返してこれたのは、交流戦で12勝6敗と勝ち越したことも大きい。交流戦では1番・島田海吏、3番・近本光司が機能した。近本は6月1日以降、毎試合3番で出場し、現在は29試合連続安打と絶好調。高橋慶彦が持つ33試合連続安打の日本記録にも迫っている。

3番に座る近本が、チャンスメイカーやポイントゲッターとして機能するかしないかが阪神打線の得点力に大きく関わることは間違いない。

打率が右肩上がり

例年、開幕してしばらくは調子が上がらない傾向があり、今季も3月は.200、4月は.239と低調だった。しかし、5月に.309と一気に打率を上げると、6月は.366、7月はまだ試合数が少ないながら.417とハイアベレージをマーク。打率はシーズンが進むにつれて右肩上がりとなっている。

特長的なのは浅いカウントでの打率が高いこと。他の打者にも見られる傾向ではあるが、近本は初球をとらえる確率が特に高く、カウント0-0の打率は.422。0-1では.297、1-0では.550とハイアベレージであり、攻撃にリズムと勢いをつける意味でも大きい。上位打線を組む島田や中野拓夢との足を使った攻撃も、相手にとってはプレッシャーだ。

どの球種も投手の左右も苦にしない

元来、どの球種に対しても高打率をマークしている近本だが、昨季は球種別打率が.273と直球を最も苦手としていた。

今季は対直球の打率は.338と大幅に向上。昨季は.391とよく打っていた対カットボールの打率が今季は.176と低いのが気になるところではあるが、対スライダーは.412、カーブは.308、ツーシームは.280、フォークは.276など、今季もどの球種に対してもある程度の打率を残している。

対右投手の打率は.317、対左投手の打率は.277と、昨季(対右投手.315、対左投手.309)同様に投手の左右も苦にしておらず、近本が安定した打撃を続けられる要因だろう。

広島戦で巻き返せるか

今後、Aクラスを確固たるものとし、首位のヤクルトを追撃していくためには、苦手チームとの対戦で巻き返すことが重要。0勝9敗(2分け)と今季1勝もできていない広島戦では、特に白星を積み上げていかなければならない。

ここまで近本の広島戦の打率は.340、出塁率.365と好成績を残しており、球場別の打率を見ると、マツダスタジアムでの打率は.407と、セ・リーグの球場では唯一4割を超える相性の良さがある。どのチームとの対戦でもそうだが、特に広島戦では、3番近本の前にいかに走者をためるかがポイントとなりそうだ。

例年、シーズン終盤に打率を上げていく傾向のある近本だが、昨季は7月の月間打率が.232と落ち込んだ(8月は.403、9月は.333、10月は.308)。今季は、暑い夏場を乗り切っていくことができるかにも注目だ。

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