グラシアルが首位攻防戦で3本塁打
先週のパ・リーグは、ソフトバンクが楽天との首位攻防戦に3連勝し、首位に浮上。このまま混パから頭一つ抜け出すのか注目だ。また、ロッテが日本ハムに3連勝、西武がオリックスに2勝1敗と勝ち越し、3位タイで並んだ。特に、ロッテはここ10試合で9勝1敗と好調で、夏本番に向けて上昇気配が漂っている。
SPAIAでは6月17日から6月19日までのwRAAを集計。本塁打数や安打数も含めて打撃面で貢献度の高い選手を「週間MVP」として球団別に紹介する。
wRAAとは、リーグの平均的な打者が同じ打席数の場合と比べてどれだけチームの得点を増やしたかを示す指標。平均的な打者なら0となり、貢献度が高いほど数値は大きく、低ければマイナスになる。wRAAが10なら、その打者が打席に立つことで、平均的な打者より10点増えたと評価できる。
本拠地PayPayドームで楽天を圧倒したソフトバンクは、グラシアルがリーグトップのwRAA4.1をマークした。17日の初戦で相手先発の田中将大から2打席連続本塁打を放つと、19日にも先発の早川隆久から5号ソロを放ち、首位攻防3連戦で8打数4安打の打率.500、3本塁打の大爆れだった。ただ、19日の試合中に左手首の違和感で途中交代。大事には至っていないようだが、今後の状態が心配される。
楽天・茂木、ロッテ・荻野に上昇気配
3タテを食らい2位に転落した楽天では、茂木栄五郎がチームトップのwRAA2.2を記録した。全3試合でヒットを放ち、11打数4安打の打率.364、2本塁打をマーク。今季は開幕直後に新型コロナに感染し、登録抹消となる不運にも見舞われ、出場は11試合のみ。打率も1割台と苦しんでいるが、ここから調子を上げていきたいところだ。
3位タイに浮上したロッテでは、36歳の荻野貴司が元気だ。19日の日本ハム戦で今季3度目の猛打賞を達成するなど、3試合で10打数5安打の打率.500を記録。wRAAもチームトップの3.5をマークし、同一カード3連勝に大きく貢献した。今季は右膝のコンディション不良や右脇腹の肉離れで出遅れたが、ここにきて本領発揮。勝負強いベテランの復帰はチームにとっても心強いだろう。
ロッテと並び3位につける西武は、18日の試合でオリックス・山本由伸にノーヒットノーランを許すもカード勝ち越しに成功した。チームトップの貢献度だったのが外崎修汰。17日の初戦で、先制の2点タイムリー二塁打を含む2本の二塁打を放ち、wRAA0.9をマークした。ただ、打線は低調でチーム打率(.223)、得点(210)ともにリーグ5位。リーグ連覇した2018、19年にはOPS8割以上を記録した外崎の復調が待たれるところだ。
将来の主軸候補が活躍
5位に転落したオリックスでは、紅林弘太郎が復調気配だ。18日の西武戦で今季初の猛打賞を記録するなど、10打数6安打の打率.600。wRAAもチーム一の2.2をマークした。昨季はショートのレギュラーに定着し、136試合に出場したが、今季は極度の不振に陥り、5月20日には1度登録を抹消された。リーグ戦再開を機に本来の調子を取り戻せるか。
最下位の日本ハムでは、野村佑希がwRAA3.6でチームトップだった。ロッテとの3連戦の全試合でマルチ安打を記録し、11打数6安打の打率.546、1本塁打の活躍を見せた。チームは3連敗を喫したが、打線の状態は悪くない。若き大砲には、この調子で打線を牽引する働きを期待したい。
ロッテが調子を上げてきたことで上位陣はさらに混戦となってきた。最下位の日本ハムも3位とは6.5ゲーム差と、まだまだAクラスは射程圏内だろう。一方で、首位攻防戦に3連勝したソフトバンクがここから勢いに乗り、一気に抜け出す可能性も十分にある。他5球団の今後の戦い方に注目だ。
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