吉川の離脱後1番に定着
6月3日試合終了時点で33勝(26敗)を挙げ、リーグ2位につける巨人。交流戦の最初のカードとなったオリックスとの3連戦には勝ち越したものの、次の日本ハム、さらにはソフトバンクには負け越すなど、なかなか波に乗れない。
坂本勇人は離脱中で、主砲の岡本和真は5月の月間打率が.180と低迷。吉川尚輝は死球による怪我から戦列に復帰しているが、開幕当初に見せていた好調ぶりにはとどかない。そんななか、打線の牽引役として期待されるのが丸佳浩だ。
吉川の離脱を機にトップバッターを任されると、毎試合のように安打を放つなどコンスタントな活躍を見せている。2017年の交流戦では「日本生命賞 セ・リーグ」を受賞しており、シーズンの行方を左右しかねない交流戦を含む今後の戦いでは、丸の働きが大きなカギを握りそうだ。
対左投手の打率が大幅に上昇
昨季と比べて大きく違うのが、対左投手の打率。昨季は.246(対右投手は.274)と苦手としていたが、今季は.350と大幅に上昇(対右投手は.250)。DeNAの東克樹に対しては打率.500(4打数2安打、2本塁打)、中日の大野雄大は.600(5打数3安打、2本塁打)、阪神の岩崎優は1.000(3打数3安打)、広島の床田寛樹は.444(9打数4安打)と各チームを代表する左投手を打ち込んでいる。
球種別の打率を見ると、対直球は.314と昨季も得意にしていたが、今季は.326に上昇。昨季は.136と苦手にしていたフォークボールに関しては.417と高打率を誇る。ツーシームやチェンジアップといった“逃げていく球”に対する打率は1割台と低いが、ツーシームに関しては昨季.435と打ち込んでおり、今後の巻き返しが期待できる。
吉川が離脱後、原辰徳監督は何人かのトップバッターを試し、数試合後には丸佳浩に落ち着いた。吉川が戦列に復帰した今でも丸に引き続き1番を任せているが、丸の出塁率や安定した打撃を評価している部分もあるのだろう。
“足”という武器もある
丸は広島時代には7年連続で二桁盗塁をマークしており(巨人初年度の2019年も入れると8年連続)、2013年には29盗塁で盗塁王にも輝いている。昨季はわずか5個にとどまった盗塁だが、今季は既に5個記録。主にチャンスメイクが仕事となる1番を引き続き任されるのであれば、盗塁数も増えるだろう。
復帰後は3番に入っている吉川だが、打撃の調子が上がれば再び1番を任される可能性もある。そうなると、丸は開幕当初務めていた5番や6番、または3番で起用されることになるかもしれない。ただ、現状は吉川の得点圏打率(.325)が丸の得点圏打率(.239)を上回っていることなども加味してのことか、吉川が3番で起用されている。
5月25日のオリックス戦では、3-3の同点で迎えた8回裏、丸がオリックスのセットアッパーのジェシー・ビドルから内野安打で出塁。続く打者アダム・ウォーカーの初球に二盗に成功し、岡本の決勝打を呼び込んだ。相手のわずかな隙を突く抜け目のなさや盗塁の技術は、経験はもとよりセンスの良さを感じさせた。
巨人が巻き返しを図るためには、4番岡本の復調が大きなポイントとなるが、出塁率の高さとスピード、さらには長打力を兼ね備えた丸が1番打者として機能すれば、得点力がアップするだろう。1番を打つきっかけは吉川の離脱に伴うものだったが、1番・丸の活躍度合いが巨人のV奪還に向けたカギになりそうだ。
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