豪華先発陣は安定感抜群
開幕からしばらくは団子状態だったパ・リーグは、楽天が1引き分けを挟んで球団記録を更新する9連勝をマークし、22勝6敗1分けで貯金16、2位ソフトバンクに4ゲーム差をつけた。石井一久監督にとっては、まさしく文字通りの「ゴールデンウィーク」となり、内心笑いが止まらないだろう。
躍進を支えているのは投手陣だ。昨年、田中将大がヤンキースから復帰した時点で「豪華先発陣」が話題になったが、ここに来てようやく歯車がかみ合ってきた。
その田中は5試合に登板して3勝1敗、防御率1.46。昨季は打線の援護に恵まれず4勝どまりだったが、今季は順調に白星を積み上げている。37歳のベテラン岸孝之も5試合登板で3勝0敗、防御率2.81。往年の球威はなくても抜群のコントロールと投球術でローテーションの軸を担っている。
昨季9勝の2年目左腕・早川隆久も5試合登板で3勝1敗、防御率1.69。目標の2桁勝利に向け、順調なスタートを切っている。さらに18年目の35歳・涌井秀章も5試合登板で3勝1敗、防御率3.19。最多勝4度の実力派右腕はまだまだ元気だ。
開幕投手を務めた選手会長の則本昂大は、新型コロナウイルス陽性判定を受けて抹消されたが、5月1日に復帰。2試合登板で1勝1敗、防御率3.48の成績を残しており、プロ通算100勝に「あと3」まで迫っている。
実績十分の5人に加え、Honda鈴鹿から入団3年目の瀧中瞭太もローテーションを守っており、5試合登板で1勝1敗、防御率3.00。これだけ先発のコマが揃い、それぞれがきっちり仕事をしてくれれば、指揮官もやりくりに困ることはないだろう。
豪華先発陣に加えてリリーフ陣も盤石だ。済美高からドラフト1位で入団8年目の安樂智大、台湾出身で昨季63試合に登板した宋家豪、来日4年目の助っ人右腕ブセニッツらが控え、クローザーの松井裕樹は1勝1敗9セーブと危なげない仕事ぶりを見せている。
チーム防御率2.52(リーグ2位)で、総失点77は12球団最少、2位・西武でも105失点ということを考えると投手陣の奮闘ぶりがうかがえる。9連勝中に限れば1試合平均2.13失点だから、勝つのもうなずけるというものだ。