21年目のベテラン、不振でスタメン落ちも
昨季、通算2000安打を達成した西武・栗山巧が苦しんでいる。プロ21年目の今季は「7番DH」で開幕スタメンに名を連ねたものの、ここまで17試合出場で打率.146。20年かけてコンスタントに積み上げてきた安打も今季は7本しか打っておらず、スタメンを外れる試合も増えている。
2019年にリーグ連覇してから3年。「山賊打線」と呼ばれた強力打線はややパワーダウンしていると言わざるを得ない。浅村栄斗がFAで楽天に移籍し、秋山翔吾はメジャー挑戦。長年、チームを引っ張ってきた野手最年長の中村剛也と栗山は今年で39歳になる。
山川穂高はホームランダービーでトップを走っているものの、森友哉は右人差し指の骨折で離脱している。打順もなかなか固定できないのが現状だ。
チーム打率は.222でリーグ4位。それでも15勝15敗1分けの勝率5割で3位につけているのは、リーグ2位のチーム防御率2.54をマークしている投手陣の奮闘によるところが大きいだろう。ドラフト1位の隅田知一郎、同2位の佐藤隼輔のルーキー左腕2人が先発ローテーションで回っているのは昨年からの大きな上積みだ。
史上17人目の通算1000四球が目前
とはいえ、今後さらに浮上するためには打線の奮起は必須条件。若手の底上げも期待されるが、苦しい時に頼りになるのが経験豊富なベテランだ。
栗山は2000安打に続く「勲章」が目前に迫っている。通算1000四球だ。現在、プロ通算976個の四球を選んでおり、あと24個で大台に届く。
NPB通算2000安打は昨年の栗山が54人目だったが、1000四球はこれまで16人のみ。長嶋茂雄も衣笠祥雄も阿部慎之助も小笠原道大も1000四球には到達していない。
達成した16人はいずれも2000安打を記録しており、巧みなバットコントールと確かな選球眼を併せ持つからこそ両立できる「巧打者の証し」と言えるだろう。
上の年度別成績を見れば、栗山がいかにバットだけでなく選球眼でもチームに貢献してきたか分かるだろう。規定打席に到達して打率が3割を超えたのは2008年、2010年、2011年の3回だが、出塁率は毎年3割以上をマークしており、2010年の4割を筆頭に3割9分台も4度ある。
「出塁」という点だけで見れば、四球は安打と同じ価値を持つ。打ちたい気持ちを抑え、冷静に、確実にこなしてきた「職人」としての仕事の積み重ねが1000四球という金字塔なのだ。
栗山の年齢を考えれば残された時間は多くない。最後にもう一度、優勝の美酒を味わうためにも、早急に調子を取り戻したい。スタメン出場が増えれば1000四球は時間の問題だろう。史上17人目の偉業は、2000安打と同等に称えられるべき勲章だ。
【関連記事】
・栗山巧が西武生え抜き初の2000安打達成!育英高出身2人目の名球会
・プロ野球界で活躍する40歳以上のベテラン「不惑の現役11戦士」
・2022年西武の年俸ランキング、上位10人全員1億円プレーヤー