早い段階での白星は自信に
今季ブレイクが期待されている中日の髙橋宏斗。地元愛知の中京大中京から中日に入団し、1年目こそ一軍での登板はなかったものの、二軍で14試合に登板して実戦の経験を積んだ。
今季は2月のキャンプ、オープン戦とアピールに成功し、見事に開幕ローテーション入り。初登板となった3月30日のDeNA戦では、5回4失点4四死球で降板し黒星を喫したものの、最速153kmの直球を軸に押していく強気の投球を見せた。
プロ入り初勝利を挙げた敵地・神宮球場でのヤクルト戦では、6回6安打3失点と先発としての役割を果たし、打つ方でも1回に2点適時打を放つなど投打で活躍した。早い段階で初白星を得たことは自信になり、今後の登板にも好影響をもたらしそうだ。
ロッテ打線をほぼ完ぺきに抑えた
3月21日に行われたロッテとのオープン戦で見た髙橋の投球は、凄まじいものだった。伸びと重さを感じさせる150km超えの直球を軸に、キレ味鋭いスプリットとカットボールを織り交ぜ、ロッテ打線をほぼ完ぺきに封じ込めた。
5回1/3を投げ、わずか2安打1失点。圧巻は毎回の11奪三振だ。直球でカウントを稼ぎ、決め球のスプリットには、ロッテの各打者のバットが次々に空を切った。髙橋の後にマウンドに上がった投手はロッテ打線に打ち込まれていたが、逆に言えば、それだけ髙橋の状態がよかったということになる。
どんどんストライクゾーンで勝負するなど、この試合では制球面も申し分なく、今季のブレイクを期待させた。
勝てる先発投手としての資質をアピール
初勝利を挙げたヤクルト戦では150km台の直球を軸に追い込み、キレ味鋭いスライダー、スプリットで打ち取った。時折見せたカーブでストライクを取れたことも大きく、組み立てのバリエーションや、ある程度ゲームメイクしていける力を見せたことは、勝てる先発投手としての資質をアピールする形になった。
直球に威力と伸びがあるため、打者はうちあぐね、他の球種も生きている。球種は多彩だが、直球の比率を上げ、今後も直球を軸に攻める投球を徹底していく方が功を奏しそうだ。
ヤクルト戦でもそうだったが、課題は走者を出してからの投球。これは実戦で経験を積んでいくほかないが、現段階でローテーションの一角として二桁勝利を期待できるだけの投球は見せている。
四球を減らしつつ、イニング数を伸ばせるか
今季初登板となった3月30日のDeNA戦では、5回を投げて4四死球だったが、4月7日のヤクルト戦では6回1四球に減少。無駄な走者を出さずにテンポのよい投球ができたことも勝因だろう。DeNA戦では5回で97球、ヤクルト戦では6回で94球を投げているが、今後イニング数を伸ばしていくには、もう少し球数を減らしたいところだ。
12日からの阪神戦でカード3連勝するなど、17試合消化時点で10勝7敗の貯金3(リーグ3位)とした中日。髙橋が今後も大野雄大や柳裕也らに続く先発ローテーションの一角として試合を作っていき、白星が計算できる存在になれれば大きい。シーズンを通じていくつ勝ち星を重ね、そのポテンシャルが開花していくか注目だ。
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