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ヤクルト・山田哲人の打撃に変化? 三振増もISOは大幅良化で長打重視のスタイルに

2022 4/15 11:00勝田聡
ヤクルトの山田哲人,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

今季は約4打席に1回三振

プロ野球が開幕して3週間ほどが経過した。2年連続日本一を目指すヤクルトは、16試合消化時点で8勝8敗のリーグ4位。開幕ダッシュとはいかなかったものの、勝率5割を保ち虎視眈々と上位をうかがっている。

そのなかでチームの中心でありキャプテンでもある山田哲人の打撃に変化が見られている。昨シーズンと比べてK%が大きく悪化しているのだ。K%は打席数に対する三振の割合を示しており、この数字が低ければ低いほど三振しない打者であることを意味する。昨シーズンのセ・リーグトータルでは20.0%だった。それが現在の山田は25.4%。約4打席に1回三振を喫していることになる。

過去の成績と比べても極端に悪い。初めて規定打席に到達した2014年以降の推移は下記の表のようになる。

 山田哲人の年度別K%


毎年、おおよそ17%から19%の間に収まっているが、2017年と2020年に20%を超えていた。今年は4月13日時点でその2年を上回っており、昨年と比べると8.2%もの悪化である。

ところが三振の割合が増えたことで、その他の成績も悪化しているかというとそういうわけではない。昨年と比較してみると打率こそやや下がっているものの、BB%(打席に対する四球の割合)は上がり、出塁率と長打率も上がっていた。

山田哲人の成績

過去K%が20%を超えるとその他の成績も低迷

その他の指標はどうだろうか。2014年以降の成績は下記の表のようになる。

山田哲人年度別成績

昨年までの成績を見ると、K%は山田の成績自体のバロメーターになっていた。K%が20%を超えていた2017年と2020年の成績は、その他の年と比べると明らかに劣っている。出塁率と長打率がともに低調で、出塁率と長打率の和で示されるOPSは一般的に優秀とされる.800に届いていなかった。

しかし今年はそうではない。2017年、2020年と比較すると打率は大きく変わらないが、出塁率がやや上がり、長打率は大きく上がっている。打者の長打力を表す指標であるISO(長打率ー打率)もOPS1.000以上を記録していた2015年や2018年に匹敵する数値だ。

その結果、OPSは0.1以上も上昇している。現在のOPS.915は村上宗隆(.900)を上回りチームトップで、リーグでも4位につけている。今年は三振の割合が増えても四球を選び、また長打を増やすことで打席での貢献度を保っているようだ。

三振のリスクを恐れず長打重視?

これまでの山田は「K%の悪化=成績の低迷」となっていた。しかし今年はK%がキャリアワーストとなりそうな勢いであるものの、打率を除くと成績の低迷は見られない。2017年と2020年は不振によるK%の悪化だったが、今年は空振りをする、あるいは三振をするリスクを承知で強振し、長打を狙うスタイルにモデルチェンジをしたのではないだろうか。

山田の不振はチームの成績にも影響を与えていた。山田が不振に陥った2017年と2020年はともにリーグ最下位だったのである。その翌年に山田が復調するとチームはAクラスに入り、昨年は6年ぶりの優勝、そして20年ぶりの日本一となった。

もちろん山田ひとりの力で日本一になったわけではないし、山田の不振だけで最下位になったわけでもない。それでもチーム成績に与えた影響は大きい。チームの得点を見ても、2017年は473点(リーグ6位)だったのが2018年は658点(リーグ2位)と大きく上昇した。

試合数が異なっているため単純に比較できないが、2020年の468点(リーグ5位/120試合制)から昨年は625得点(リーグ1位)になった。平均得点で見ると3.9得点から4.4得点で、1試合あたり0.5​点の上昇だった。今年も山田の成績がチームの得点力、さらには順位にも大きく影響を与えることは間違いない。

とはいえまだ16試合しか消化していないため、ただの偏りの可能性も十分にある。シーズンが終了したとき山田の成績はどのようになっているのだろうか。その変化を見守っていきたい。

※数字は2022年4月13日終了時点

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