あと22打数で4000打数の柳田悠岐
NPBの公式サイトには、投打の歴代通算記録のランキングが掲載されているが、打率は「4000打数以上」となっている。通算1位は昨年10月23日までヤクルトの青木宣親だったが、翌24日に陥落した。しかし、ソフトバンクの柳田悠岐の通算打数が間もなく4000打数に達し、ランキング上位に顔を出そうとしている。
あと22打数で4000打数に到達する柳田の現時点の打率.318は歴代5位に相当する。また、4位の張本勲から2位の若松勉までの通算打率の差は極めて小さいため、柳田は22打数12安打(通算4000打数1277安打、打率.31925)で一気に2位に躍り出る。
さらに22打数16安打(通算4000打数1281安打、打率.32025)なら、現時点の首位打者であるレロン・リーを抜くことになる。
柳田は7日に左肩腱板炎の診断を受けて登録抹消となっており、10日程度で復帰すると見られている。そこから調子を取り戻せば、通算打率で首位打者になる可能性もある。
ただ、難しいのは「その座をキープする」ことだ。超一流打者なら、通算打率が3割を大きく超えることはそれほど珍しくない。しかし、衰えを感じ始めるキャリア後半に打率をキープするのは非常に難しい。
青木宣親はMLBから日本に復帰して2018年5月3日の中日戦で通算打数が4000に到達し、通算打率ランキングに首位打者として名前が載った。この時の通算打率は.32742 で、当時2位のリーとは7厘差があったが、その後次第に打率が低下し、昨年10月24日に首位打者の座を明け渡した。
現在の通算打率5傑に入っている若松勉は通算151盗塁、張本勲は319盗塁、青木宣親は171盗塁(盗塁王1回)と、足で安打を稼いだと言っても良いほど若い頃は俊足で鳴らした。だが、年齢とともに足が遅くなると打率を低下させる要因になる。
柳田悠岐も2015年にトリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)を記録するなど、通算156盗塁を記録する俊足で、打率にもある程度寄与していた。しかし2019年以降は盗塁はが一桁にとどまり、足に関してはピークを過ぎたように思われる。
通算打率1位のレロン・リーや5位のブーマー・ウェルズは俊足ではなかったが、NPBの野球に適応して1年目から結果を出した。外国人選手は活躍する期間が短く打数が少ないので、高打率をキープしやすい。
リーは1987年に引退したが、1989年には元同僚の落合博満が4000打数に達して打率.326で1位に立った。しかし落合の打率も次第に下落して1993年にはリーを下回った。
リーは2006年にも小笠原道大が4000打数に達して打率1位の座を奪われたが、その後、小笠原の通算打率も低下して首位打者に返り咲いている。本人は全く意識していないだろうが、通算打率をめぐるリーの壁は非常に高いのだ。