初球から強振、1軍戦力へ見極め
阪神に楽しみな逸材が現れた。ドラフト4位で智弁学園(奈良)から入団した前川右京外野手(18)。
高卒ながら3月にオープン戦デビューすると、甲子園で2安打。数試合限りの「お客さん」ではなく、そのまま1軍にとどまった。矢野燿大監も「見てみたい」と開幕直前にもかかわらず、1軍戦力になるか本格的な見極めに入った。
臆せず初球から強振するスタイル。追い込まれても変化球に食らいついてヒットゾーンにもっていく精神力の強さは、育った環境が下地になっている。
阪神に楽しみな逸材が現れた。ドラフト4位で智弁学園(奈良)から入団した前川右京外野手(18)。
高卒ながら3月にオープン戦デビューすると、甲子園で2安打。数試合限りの「お客さん」ではなく、そのまま1軍にとどまった。矢野燿大監も「見てみたい」と開幕直前にもかかわらず、1軍戦力になるか本格的な見極めに入った。
臆せず初球から強振するスタイル。追い込まれても変化球に食らいついてヒットゾーンにもっていく精神力の強さは、育った環境が下地になっている。
出身は三重県。中学時代は津ボーイズでプレーした。恩師である松本直也監督(49)は同チームの方針を明かす。
「津ボーイズは強気がキーワード。絶対に引かない。追い込まれて見逃し三振する選手じゃなくて、追い込まれても強気。もちろん、守備でも強気。チームとしても強気です」
心臓に毛が生えたようなプレーを高校でもプロでも見せているスラッガーだが、内面は普通の中学生だった。メンタル的に特段強いわけではなく「実はびびりです」と恩師は言う。
前川は弱い自分にムチを打ち、成長につなげてきた。筋金入りの負けず嫌い。強豪の津ボーイズの中では前川よりセンスがある選手、打球を飛ばす選手もいたという。それが悔しくて仕方なかった前川は努力を重ねた。
やらされる練習は一切なし。強制的な休憩でない限り、わずかな時間を見つけては時間を見つけて筋トレをしたり、素振りをしたり。フリー打撃の順番待ちすらも無駄にしなかったという。
卒団後、越境入学した全国屈指の名門・智弁学園では1年春から4番を任された。1年夏の甲子園にも主砲として出場した。胸に刻んだ「強気」で、先輩たちと激しく争った。その後はスランプも乗り越えて、3年夏に甲子園準優勝まで上り詰めた。夢のプロ入りも果たした。
松本監督はこの冬、前川に、はなむけの言葉としてこう伝えたという。
「プロ野球は人気商売。自分の結果で稼ぎが変わる。1年目でも18歳でも堂々と勝負しなさい。あとで後悔するくらいなら、最初から強気で勝負しなさい。細く長くではなく、太く長くやってほしい」
前川は入団会見から一貫して「1年目から勝負」と言い続けてきた。2軍キャンプでアピールし、早くも1軍で高校生離れした技量を示した。
阪神では近年、高卒野手のレギュラーがなかなか現れない。大和(現DeNA)、北條史也、原口文仁、中谷将大(現ソフトバンク)らが一時期はレギュラーをつかんだが、定着までに至っていない。優勝を争った昨季メンバーも全員が大学・社会人卒だ。
今年もほぼ同じオーダーが予想される中、高卒ルーキーがどこまで食い込めるか。1年目のパフォーマンスは刮目(かつもく)に値する。
【関連記事】
・阪神・佐藤輝明の三振が減った!ヤクルト村上宗隆と同じ成長曲線を描けるか
・阪神・藤浪晋太郎が安定した理由「迷ったら立ち返る場所」とは?
・阪神・矢野燿大監督「予祝」と退任表明に込めた覚悟と本当の胸の内