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プロ野球、新加入外国人野手で有望なのは? 過去の成功条件から活躍を予想

2022 3/10 06:00広尾晃
広島のマクブルーム(左)と西武のオグレディ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

3つの成功条件に該当する助っ人はいるか

今季は3月1日時点で、セ・パ両リーグで育成含め、14人の新外国人打者が入団した。 彼らの活躍を予想したい。筆者は前回のコラムで、外国人打者の活躍の条件として、以下の3つを挙げた。

(1)右打者:21世紀以降、活躍した外国人打者はほとんどが右打者
(2)出世前:NPBで長く活躍する打者は、MLBで十分な実績を挙げた打者ではなく、実力を出し切れなかった打者。そして、まだ活躍の余地のある30歳前後
(3)中距離打者:「メジャー通算何本塁打」の触れ込みのある打者ではなく、MLBではややパワー不足の中距離打者と言う評価の打者の方が、NPBで通用することが多い

まずはセ・リーグから見ていこう。新外国人打者は以下の4人。

セ・リーグ新外国人打者のMLB成績,ⒸSPAIA


巨人は昨年もジャスティン・スモーク、エリック・テームズと言うレギュラー級の外国人打者を獲得したものの結果が出なかったが、今季も大物選手を獲得した。グレゴリー・ポランコは、ドミニカ共和国出身。パイレーツの生え抜き選手で、20本塁打80打点を2回記録、規定打席に3回到達するなど主力として活躍した。実績は十分だが、2018年に左ひざ、肩を負傷してから成績は下り坂。昨年は筒香嘉智の移籍に伴って出場機会が減り、オフにFAとなった。三振が多く四球が少ない。

対照的に、アダム・ウォーカーは2018年から米独立リーグでプレーしている。196㎝の大型選手でマイナーでは100打点を2回記録。ポランコの「保険」と言うイメージか。

広島のライアン・マクブルームは、左投げ右打ちと言う変わり種。ロイヤルズで3シーズンプレー、MLBでの実績は乏しいがマイナーでは通算打率.284を記録している。

中日のギジェルモ・ガルシアは、キューバ出身、キューバ国内リーグでもあまり実績がない若手。中日はキューバ出身のダヤン・ビシエドが中軸で活躍しているが、彼に続く打者にするべく育成したい。

実績でいえば巨人のポランコが圧倒的だが、左打者であり、成績的には下り坂だ。この中では、広島のマクブルームに期待が持てそうだ。ただ左投げなので、ポジションが限られてくるのが問題か。

パ・リーグの10助っ人で有望なのは?

パ・リーグは10選手が新たに加入した。

パ・リーグ新外国人打者のMLB成績,ⒸSPAIA


スイッチヒッターが3人入団。MLBでは両打の打者は非常に多い。しかし実力的には玉石混交だ。

オリックスのブレイビック・バレラは、ベネズエラ出身。内野はどこでも守れる。MLB5球団でプレーしたがレギュラーにはなれず。両打だが右打席では.302、左打席は.213と差がある。

楽天のクリス・ギッテンズは、193㎝の大型一塁手。昨年ヤンキースでメジャーデビュー。わずか4安打だが7四球を選んでいる。マイナーでは通算出塁率.378。昨年はAAAで.301を記録しており、変化球に対応できる巧打者だ。ただメジャー、マイナー通じて一塁以外を守ったことがない。

ホセ・マルモレホスは、左打ちの一塁手。外野も守れる。マイナーでは通算打率.292、シュアな中距離打者で選球眼も良い。

ソフトバンクのフレディ・ガルビスは、今季の新外国人打者では巨人のポランコと双璧の「大物」。ベネズエラ出身で、2017、18年と2年連続全試合出場。シーズン20本塁打を2回記録している。ただし通算出塁率は.292で、やや荒っぽい打者だ。遊撃手として活躍したが、内野はすべて守れる。

マルコ・シモンとフランケリー・ヘラルディーノは、ドミニカ共和国でテストをして採用。まだ十代であり、MLB傘下でのキャリアもない。ソフトバンクはNPB純粋培養の外国人選手の育成に乗り出した。

日本ハムのアリスメンディ・アルカンタラは、178㎝と小柄な両打の打者で、内外野守れる。2014年夏、シカゴカブスでデビューし、レギュラーの座をつかみかけたが、以後は代打、控え野手。三振がかなり多い。

レナート・ヌニエスは右打ちの三塁手。2019年にはオリオールズで規定打席に到達し31本塁打90打点。昨年はキャンプ招待選手からメジャー昇格した。やや鈍足。

西武のジャンセン・ウィティは、右打ちの外野手。MLB経験はないが、マイナーでは8シーズンで打率.277。二塁打が多く昨年はマリナーズで.299を記録している。ブライアン・オグレディはレッズ、レイズ、パドレスでプレーしたが代打、守備固めが中心。選球眼がよく出塁率が高い。また足も速い。

筆者が提案した条件でいえば、西武のオグレディ、楽天のギッテンズが有望と言うことになろうか。

ただ外国人選手は実績や外見だけでなく、内面の問題も大きい。大洋で渉外担当スカウトとしてクリート・ボイヤー、ジョン・シピンからロバート・ローズまで名外国人打者を獲得した故牛込惟浩氏は「海外の実績はあてにならない。性格の悪い選手はダメ」と言ったが、異文化圏で活躍するにはメンタルの問題も重要なのだろう。

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