大石達也に6球団、斎藤佑樹に4球団競合
プロ野球のドラフト会議は球団同士の駆け引きや当時の選手の調子、ケガの状況なども指名順位に影響を及ぼす。当然ながらプロ入り後の成長や故障など様々な要因によって、期待通りに活躍するかどうかは誰にも分からない。時間が経過してから初めて、その年のドラフトが成功だったかどうか判断できる。
2010年ドラフトは早稲田大の大石達也に6球団競合し、斎藤佑樹に4球団競合、福井優也も広島から1位指名され、史上初めて同一チームから3人の投手がドラフト1位で入団した。
しかし、結果的に見れば、すでに大石と斎藤はユニフォームを脱ぎ、現役は福井のみ。ドラフト当時の騒がれ方からすると期待に応えたとは言い難い成績に終わった。
ただ、同年の2位指名を見ると現在もプレーする実力者が少なくない。横浜から順にウェーバー方式で指名した各球団2位指名選手のプロ通算成績は以下の通りとなっている。
横浜2位は法政大で16勝を挙げた右腕・加賀美希昇だった。即戦力として期待されたが、24試合登板で5勝10敗にとどまり、2015年に戦力外通告。1位指名されたJFE東日本の右腕・須田幸太も2018年に戦力外となっている。
楽天は東京ガスの右腕・美馬学を2位指名。FAで2020年からロッテに移籍し、通算67勝を挙げている。1位は八戸大の左腕・塩見貴洋で、昨季まで通算46勝56敗の成績を残している。
日本ハムは1位・斎藤佑樹、2位・西川遥輝
広島2位は富士大の左腕・中村恭平。一軍で2勝にとどまり、2021年に戦力外となった。1位の福井優也は楽天に移籍し、ここまで通算32勝41敗の成績を残している。
オリックスは修徳高・三ツ俣大樹を2位指名。2014年に岩﨑恭平との交換トレードで中日に移籍し、通算172試合に出場している。1位は大石達也、伊志嶺翔大、山田哲人を抽選で外した末、「外れ外れ外れ1位」で後藤駿太だった。
ヤクルト2位は伯和ビクトリーズの右腕・七條祐樹。56試合に登板して8勝を挙げたが、2015年に戦力外となった。1位は大当たりの「外れ外れ1位」、履正社高の山田哲人だった。
1位で斎藤佑樹を引き当てた日本ハムは、2位で智弁和歌山高の西川遥輝を指名。盗塁王に4度輝くなど、俊足巧打で通算1232安打をマークしている。2021年オフに自由契約となり、楽天に移籍した。
巨人は宮國椋丞、阪神は一二三慎太
巨人は糸満高の右腕・宮國椋丞を2位指名。2013年に20歳で開幕投手を務めるなど通算21勝を挙げたが、2020年オフにトライアウトを経てDeNAに移籍した。1位は中央大の右腕・澤村拓一（現レッドソックス）だった。
ロッテ2位は立正大で東都通算15勝をマークした右腕・南昌輝。通算190試合に登板して11勝8敗37ホールドの成績を残したが、2021年限りでユニフォームを脱いだ。1位は東海大・伊志嶺翔大だった。
阪神は東海大相模高で夏の甲子園準優勝した右腕・一二三慎太を2位指名。プロ入り後に野手転向したが、一軍出場を果たせないまま2016年に戦力外となった。1位の東京ガス・榎田大樹も西武に移籍後、2021年限りでユニフォームを脱いだ。
西武は牧田和久、中日は吉川大幾
西武は日本通運のサブマリン牧田和久を2位指名。MLBパドレスでも27試合に登板するなど日米通算372試合登板で55勝52敗27セーブ80ホールド。防御率は2.90をマークしているが、2021年に楽天を戦力外となった。1位は6球団競合の大石達也だった。
中日2位はPL学園高の吉川大幾。2015年から巨人に移籍したが、2020年にユニフォームを脱いだ。通算268試合に出場した。1位は2020年に沢村賞に輝いた佛教大の左腕・大野雄大だった。
ソフトバンクは広島経済大の柳田悠岐を2位指名。プロ入り後は首位打者2度、2015年にトリプルスリーを達成するなどパ・リーグを代表する強打者に成長した。通算1259安打、214本塁打、打率.319をマークしている。1位は習志野高の山下斐紹だった。
10年以上が経過して振り返ってみると、ドラフト前の評価通りにはいかないプロの厳しさを感じさせる。ドラフト2位から大きく成長した選手たちの今後に注目だ。
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