新庄監督の1年目ノルマはAクラス復帰?
いよいよプロ野球の春季キャンプが近付いてきた。今年最大の注目は日本ハムの新監督に就任した新庄剛志ビッグボスだ。
昨年11月の監督就任会見以降、メディアに登場しない日はないと言っていいほど引っ張りだこ。他球団も含めてストーブリーグの話題が少なかったこともあって、ここまでのメディア戦略は大成功と言っていいだろう。2023年から北海道北広島市にできる新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」へ本拠地移転するにあたり、最高の盛り上げ役となっている。
とはいえ、新庄ビッグボスの真価が問われるのはこれからだ。シーズンで勝たないことにはせっかくの上げ潮ムードも萎んでしまう。3年連続5位に低迷している日本ハムとしては、まずは4年ぶりのAクラス復帰が求められる現実的なラインではないだろうか。
監督を4人輩出した1989年ドラフト組
新庄監督は西日本短大付高から1989年ドラフト5位で阪神に入団した。同年ドラフトは新日鉄堺の剛腕・野茂英雄に史上最多8球団が競合。ほかにも大物選手が多く、空前の「豊作ドラフト」として有名だ。
同期のドラフト組で監督を経験するのは新庄監督で4人目。4人と聞くと少なく感じるかも知れないが、同期で複数人が監督になる世代などそうそうあるものではない。
現役監督で最年長の巨人・原辰徳監督がプロ入りした1980年ドラフト組から、最年少のロッテ・井口資仁監督がプロ入りした1996年ドラフト組までの監督経験人数は以下の通りとなっている。
1980年組 3人(原辰徳、石毛宏典、大石大二郎)※秋山幸二はドラフト外
1981年組 5人(伊東勤、小川淳司、藤本博史、西村徳文、工藤公康)
1982年組 0人
1983年組 2人(渡辺久信、辻発彦)※栗山英樹はドラフト外
1984年組 3人(大久保博元、田辺徳雄、和田豊、福良淳一)
1985年組 0人
1986年組 2人(中嶋聡、緒方孝市)
1987年組 1人(立浪和義)
1988年組 2人(野村謙二郎、谷繁元信)
1989年組 4人(古田敦也、与田剛、佐々岡真司、新庄剛志)
1990年組 2人(矢野輝弘、高津臣吾)
1991年組 3人(金本知憲、石井一久、三浦大輔)
1992年組 1人(真中満)
1993年組 0人
1994年組 0人
1995年組 1人(三木肇)
1996年組 1人(井口資仁)
最多は1981年ドラフト組の5人。全く監督になっていない世代もあり、1989年組は引退後も含めてプロの世界で長く活躍していることが分かるだろう。
古田敦也、与田剛、佐々岡真司3監督とも負け越し
では、新庄監督と同期入団した監督はどのような成績を残しているだろうか。
現役時代に兼任監督となった古田敦也は2006年から2シーズンで130勝157敗3分けの勝率.448。1年目は3位だったが、2年目は最下位に沈んだ。通算2000安打をマークするなど選手としての華々しい実績に比べると、監督としての印象は薄い。
選手兼任監督の負担が相当重いことは想像に難くない。監督専任として指揮を執る姿をもう一度見たいファンは多いだろう。
前中日監督の与田剛は2019年から3シーズン務め、183勝199敗24分けの勝率.479だった。順位は5位、3位、5位。リーグ屈指の投手陣を形成したが、貧打を解消できず、立浪監督にその座を譲った。
現広島監督の佐々岡真司は2020年から2シーズンで115勝124敗24分けの勝率.482。2016年からリーグ3連覇したが、佐々岡監督就任後は5位、4位とBクラスに甘んじている。
実は3監督は全員負け越しているのだ。現役時代に眩い光を放った元スター選手も、監督としてチームを勝たせることは簡単ではない。新庄ビッグボスはドラフト同期の監督で最高の成績を残せるだろうか。今から開幕が待ち遠しい。
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