2021年は対右投手の打率.257、対左投手は.316
2021年、日本一に輝いたヤクルトで打線を引っ張ったのは若き主砲・村上宗隆だ。143試合全て4番として出場し、打率.278、39本塁打、112打点と堂々の成績。巨人・岡本和真と並んで初の本塁打王に輝き、推定年俸は1億円から2億2000万円に跳ね上がった。
昨季の村上を振り返ると目に留まるのが「対左投手」の成績向上だ。
投手の左右別対戦成績を見ると、打率は対右の.257に比べて対左は.316。「左投手を苦にしない」と言うより「左投手は得意」と言ってもいい数字を残している。
ただ、本塁打は右投手から27本、左投手から12本放っており、本塁打を1本打つまでにかかる打数を示すAB/HRは対右が11.96、対左が14.75。右投手からより多く本塁打を放ったことが分かる。
三振数も右投手の方が対戦機会が多いため88個を喫しており、対戦の少ない左投手からは45個となっているが、三振をひとつ取られるまでの打席数を示すPA/Kでは右投手が4.65、左投手が4.58とわずかに左投手から喫する割合の方が高い。
12球団最多の106個を選んだ四球数はさらに差が大きく、右投手からの81個に対し、左投手からは25個しか選んでいない。四球と三振の割合から打者の選球眼を示すBB/Kは対右が.920、対左が.556となっている。
そのため出塁率は対右が.401、対左が.405と打率に比ると差が小さい。2021年の村上は、右投手も左投手もほぼ同等の好成績を残していたのだ。
左腕との対戦ではミートに徹した?
シーズン打率.307をマークした2020年は、右投手の打率.318に比べて左投手は.288。シーズン打率.231だった2019年は対右の打率.254に対し、対左は.198と、いずれも左投手の方が成績が悪かった。
つまり、村上は昨季、苦手の左腕対策として、よりミートに徹していたのではないだろうか。そのため本塁打や三振、四球は少ない半面、確実にバットの芯に当てることで打率がアップしたと考えれば辻褄が合う。
のびのびとフルスイングしていたのは、右投手との対戦時に限っていたとしても不思議ではない。
課題は追い込まれてからの低めへの対応
村上は契約更改後の記者会見で2022年の目標として「3割40本100打点」を挙げている。本塁打と打点はほぼ据え置きだが、打率を上げることが課題であるという認識なのだろう。
打率アップには低めをいかに拾えるかがカギを握る。ストライクゾーンを9分割した昨季のコース別成績を見るとよく分かる。
ベルトラインより高い球は打率3割以上を示す赤が多いが、低めは内外角を問わず打率2割台。加えて外角のベルトラインも打率.181と結果を残せていない。目から遠い4つのゾーンで133三振のうち98三振を喫しているのだ。
カウント別の打率を見ても、0ボール2ストライクは打率.111、1ボール2ストライクは.193、2ボール2ストライクは.188と追い込まれてからの打率が極端に低い。
裏を返せば、低めの落ちる球などの変化球の見極め、あるいは外角球を軽打でレフト前に運ぶような技術を身に付ければ、シーズン3割も見えてくるだろう。
2年連続最下位から「下克上」を果たしたヤクルト。黄金時代を継続するには主砲の活躍は欠かせないだけに、村上のさらなる成長が期待される。
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