躍進のルーキー3人が大幅昇給
生まれ変わった猛虎を象徴するような新星たちの出現だった。
スワローズに勝率5厘差で上回られ、レギュラーシーズン2位に終わった阪神タイガース。頂点に立つことは叶わずも、将来展望の描けるフレッシュな面々が躍動した実りある1年だったことも間違いない。
何と言っても、このルーキートリオの活躍なくして2021年は語れない。ドラフト1位の佐藤輝明、2位の伊藤将司、6位の中野拓夢。各々が、持ち味を存分に発揮し、チームに欠かせぬピースとなった。
3人は今オフ、揃って契約更改に臨み、佐藤輝は2600万円アップで球団の2年目野手では2位タイとなる年俸4200万円でサイン。伊藤将は史上最大アップ額(3100万円アップの年俸4400万円)、中野は最大アップ率(363%アップの年俸3700万円)と球団の歴史を塗り替えた。
プロの扉を叩いてようやく1年が経ったばかりだが、置かれる立場は来季から変わるだろう。金額の大きさからも分かるように、「主力」として更なる活躍が求められることになる。その期待を自覚するように、3人も浮き足立つことなく2年目を見据えた。
佐藤はインコース克服、中野は失策減が重要テーマ
驚異的な飛距離とペースで前半戦は本塁打を重ねながら終盤は59打席連続無安打を経験するなど試練も味わった佐藤輝は「同じことをもう1回やらないように。経験を生かしてやっていくしかない」と決意。一番の魅力であるアーチも「30本」をノルマに設定し、シーズン通してのパフォーマンス発揮を宣言した。不振の原因も「インコース」とすでに分析済みだ。
遊撃のレギュラーを奪取し2番に定着。1年目から盗塁王も獲得した中野も表情を引き締めた。1年目で残した30盗塁も立派な数字だが「正直少ないと思うので、50盗塁するぐらいの勢いで、目標を高く持って。守備の面でエラーが多い(今季は17失策)のは分かっていますし、投手から信頼される内野手になるためには、打ち取った打球をアウトにしていかなといけない」と盗塁増、失策減に取り組む。
そして、将来的に狙うのは今は近本で不動の1番。「近本さんにずっと任せるんじゃなく、自分が打つという気持ちを持ってやっていきたい」と野望を明かした。
伊藤将司は能見篤史に弟子入り
開幕からローテーションに定着し10勝、防御率2.44、終盤はブルペン待機にも適応した伊藤将。申し分ないスタッツを残した左腕は“師匠選び”に並々ならぬ決意をにじませた。
「能見さんは三振を取れる投手というイメージが本当に強いので、自分もそういうピッチャーになれたらいいなと。フォークを教えてもらえたら嬉しい」。先輩の坂本誠志郎を通じて弟子入りを志願し、今季は5.07にとどまった奪三振率の向上にも励む。
それぞれが手応えを感じつつも、さらなる進化と成長へ早くも動き出した3人。「トリオ」から「コア」となって、チームを悲願のリーグ優勝へ導く。
《ライタープロフィール》
チャリコ遠藤 1985年4月9日生まれの36歳。本名は遠藤礼。関西大学から2008年にスポーツニッポン新聞社入社。2010年から阪神タイガース担当で2018年から「チャリコ遠藤」のアカウント名でTwitterで積極的に情報を発信中。フォロワーは2万7000人。趣味は海釣り。
【関連記事】
・【ルーキー通信簿】阪神は佐藤輝明、中野拓夢、伊藤将司らが大車輪の活躍
・6年連続減俸の阪神・藤浪晋太郎がそれでも先発にこだわる真意
・セ盗塁王・中野拓夢は成功率1位タイ!和田康士朗は代走専門で初タイトル