ストレート偏重の異質な投球スタイル
2021年、ソフトバンクの投手陣で飛躍を遂げた選手の1人が、プロ2年目の津森宥紀だろう。前半戦は防御率1点台をマークするなど素晴らしいピッチングを続け、オールスターのマウンドも経験。後半戦はケガによる離脱もあり100点満点の出来とはいかなかったが、それでもチーム3位の45試合に登板するなど順調なステップアップを果たした。今回はそんな若き右腕の投球に迫っていきたい。
2020年は、1年目ながら開幕一軍入りを勝ち取って14試合に登板した津森だったが、16回1/3で8個の四球を与えるなど明確な課題もあった。しかし2021年は投球に占めるストライクの割合がリーグ平均を上回る水準まで改善。制球面が安定したことで、投手優位なカウントで打者と勝負できる場面は増加した。
こうした成長の裏には、組み立ての変化がある。2021年はストレートの投球割合が81.5%と、ストレート偏重のピッチングにモデルチェンジ。一般的に、ストレートは変化球と比較してストライクを取りやすいという特徴がある。その傾向が特に強い津森は、直球の割合を極端に増やすことで、カウントを悪くするケースを減少させたというわけだ。
ここまで高い割合でストレートを投げ込む投手はNPB全体を見渡しても極めてまれだが、自身のポテンシャルを最大限発揮する方法を考え、この異質な投球スタイルにたどり着いたのかもしれない。