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嘉弥真新也、岩崎優、高梨雄平…中継ぎで輝く「無冠の鉄腕」たち

2021 12/4 06:00林龍也
福岡ソフトバンクホークスの嘉弥真新也,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

抑えて当たり前、打たれれば戦犯扱い

2021年シーズン、ヤクルトの清水昇が50ホールドのプロ野球新記録を樹立。最優秀中継ぎのタイトルを獲得し、チームのリーグ優勝、そして日本一に大きく貢献した。清水のように記録を樹立したり、タイトルを獲得したりすれば注目を浴びるが、中継ぎ投手というのはなかなか脚光を浴びることが少ないポジションだ。

抑えて当たり前と思われ、先発投手の勝ち星を消したら戦犯扱いされることも多い。ピンチを抑えればまだしも、1イニングを抑えたくらいでは印象にも残りにくい。それでいてブルペンでは登板がなくても肩は作らなければならない。中継ぎ投手とは、そんな過酷なポジションなのである。

今回はそんな中継ぎ投手で、タイトルには表れない、隠れた「無冠の鉄腕」たちにフォーカスしていきたい。

5年連続40試合以上登板は5人のみ

中継ぎ投手には打者で言う規定打席や、先発投手の規定投球回数のようなわかりやすい評価基準はないため、今回は「40試合以上登板」を年間通して1軍の戦力になったかどうかの基準としたい。

2017~2021年の5年間で40試合以上に登板した投手は延べ281人で、重複分を除くと148人になる。ちょうど半分の74人がこの基準を1回クリアしており、さらに半分の37人が2回で、3回以上も37人いた。

3回以上クリアした37人の内訳は、3回が20人、4回が12人。5回、つまり5年連続40試合以上登板を果たしたのは、宮西尚生(日本ハム)、嘉弥真新也(ソフトバンク)、高梨雄平(楽天・巨人)、岩崎優(阪神)、山﨑康晃(DeNA)の5人のみだった。

この5人の登板数を見ると、最多が嘉弥真の287試合で、次いで山﨑の286試合、岩崎優の278試合、高梨の263試合、宮西の261試合となっている。5人とも平均では年間50試合以上になるが、5年連続50試合以上という鉄腕ぶりを発揮していたのは宮西と嘉弥真の2人のみだった。

近年は分業制が進み、規定投球回に到達する先発投手も年々減少傾向で、中継ぎ投手の登板数自体は増えている。その一方で、上記の数字は中継ぎ投手が継続して投げ続けることがいかに難しいかを示していると言えるだろう。

「70試合登板」の負担

続いて、シーズン登板数を見ていこう。延べ281人のうち、50試合以上に登板したのは185人、60試合以上は71人、70試合以上は11人、80試合以上は1人だった。60試合以上までは複数回記録した投手が多くいたが、70試合以上になると複数回は1人もいない。

2017から2021年で70試合以上登板した投手


70試合登板した翌年の成績を見ると、エスコバー(DeNA)、益田直也(ロッテ)らは登板数こそ落としてはいるが、同等の成績を残している。その一方で、約半分の投手が成績を落としており、岩嵜翔(ソフトバンク)、砂田毅樹(DeNA)はそれが極端だった。「70試合登板」の負担がどれほど大きいかが分かる。今シーズンは清水が72試合に登板しているが、来シーズンの働きぶりに注目したいところだ。

70試合以上登板した投手の翌年成績


唯一80試合をクリアしたのは、2019年の平井克典(西武)で、81試合に登板した。プロ野球の長い歴史で見ても、80試合以上は2007年の久保田智之(90試合)、2005年の藤川球児(80試合)を加えた3人のみ。それだけずば抜けた記録だったのだ。

今回のテーマは、タイトルに表れない、隠れた「無冠の鉄腕」たちだ。5年連続40試合以上の5人を見ると、山﨑は最多セーブ、宮西は最優秀中継ぎにそれぞれ複数回輝いている。さらに言うと、宮西はプロ1年目の2008年から14年連続50試合登板という大記録を達成しており、岩瀬仁紀の15年連続にあと1年としているのだ。中継ぎのスペシャリストとして、一時代を築いたと言っても過言ではない。

その一方で嘉弥真、高梨、岩崎はプロ入り以来、主要タイトルとは無縁だ。岩崎は今シーズン、リーグ2位の44ホールドポイントを記録した。例年であればタイトルに匹敵する数字だったが、清水がそれを上回った。

嘉弥真、高梨はワンポイントとして起用されることも多く、ホールドの条件を満たさない登板もあった。チームの勝敗を左右する1アウトのために登板しているにも関わらず、記録には残らない。計算できる左腕であるが故の悲哀でもあるが、高梨はリーグ優勝、嘉弥真は日本一に大きく貢献している点で、報われているのかもしれない。

来シーズン、彼らがタイトルを獲得するような活躍を見せてくれるのが一番なのだが、もしそうならなかったとしても、「無冠の鉄腕」たちの働きに注目していきたい。

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