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シーズン最多セーブ、ホールド、救援投手の防御率ランキング、高まるリリーフの重要性

2021 12/7 11:00広尾晃
ヤクルトの清水昇,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

清水昇が史上最多の50ホールド達成

規定投球回数に達することがほとんどない救援投手は、先発投手に比べて歴代記録が取り上げられることは少ない。しかし今季、救援投手のシーズン記録が更新された。また好成績を挙げた救援投手もいた。

日本一になったヤクルトのセットアッパー清水昇は、史上最多となる50ホールドを達成し、NPB記録を更新した。

 シーズンホールド数ランキング


2018年に国学院大からドラフト1位で入団した清水は、2年目にリーグ最多の30ホールドをマーク。そして、3年目となった今季は50ホールドの大台に乗せた。ただNPBではホールドではなく、ホールドポイント(ホールド数+救援勝利数)が最多の投手に「最優秀中継ぎ投手」のタイトルが与られる。

今季の清水は53ホールドポイントで、これは2010年に47ホールド(歴代2位)をマークした浅尾拓也の59ホールドポイントには及ばない。ホールドポイントの歴代2位は久保田智之(元阪神)の55ホールドポイントで、清水の53ホールドポイントは2005年の藤川球児と並んで歴代3位タイとなる。

ホールドは2005年から公式記録となったため、それ以降の投手だけが対象となっている。それだけに今後も記録更新に期待がかかる。NPBの二軍ではホールドはまだ導入されておらず、MLBでも記録はされているものの、表彰の対象にはなっていない。

NPB最多セーブ記録はサファテの「54」

セーブが導入されたのは、ホールドよりも31年早い1974年。この頃から先発や救援の分業が進み、最後に投げる救援投手にセーブを付与することになったのだ。

 シーズンセーブ数ランキング


2017年にソフトバンクのデニス・サファテが記録した54セーブがNPB記録だ。サファテは今季も現役選手として登録されていたが、2018年を最後に投げておらず、このほど引退を表明した。

続いて阪神の「JFK」の中核だった藤川球児とこのランキングに4回顔を出している中日の岩瀬仁紀の46セーブ。岩瀬はNPB最多の通算407セーブを挙げている。

今季、2年連続でセーブ王を獲得した阪神のロベルト・スアレスは7位タイの42セーブ。パドレスと契約合意したことがこのほど伝えられた。

なお、現在は最多セーブを記録した投手がタイトル獲得となるが、2004年まではセーブポイント(セーブ数+救援投手数)が最多の投手に「最優秀救援投手」のタイトルが与えられていた。以後は、公式記録ではなくなったが、セーブポイント換算でもサファテが「56」で最多となっている。

今や優勝には不可欠な救援投手

救援投手は規定投球回数に到達することはほとんどないので、防御率が話題になることは少ない。だが、救援投手も優秀な防御率を記録している。

セーブ制が敷かれた1974年以降にシーズン40試合以上救援登板した投手の防御率を見ると、防御率1以下を記録した投手は延べ17人いる。

救援投手シーズン防御率1.00未満


1位の中日・浅尾拓也は2011年に79試合87.1回を投げて自責点はわずか4、防御率は驚異の0.41だった。前年の2010年に当時のNPB記録だった47ホールドを記録。2011年はホールド数は減ったが、ほとんど点を取られない驚異的な成績を記録し、中継ぎ投手としては初めてのMVPを受賞している。

意外なことに2位は今季の楽天・松井裕樹だ。2015年にも1点未満の防御率を記録している。2019年に最多セーブを記録しながら、2020年には先発へ転向。途中から救援に再転向したものの成績はが上がらず、今季は再びクローザーに戻るも、8月下旬に右太腿痛で登録抹消となった。しかし、それまではすごい成績を挙げていたわけだ。

また、広島の新人・栗林良吏も1点以下の防御率を記録。絶対的なクローザーとして東京五輪でも活躍を見せ、新人王の期待がかかる。西武の平良海馬も今季は防御率0.90を記録している。

1974年以降に40試合以上救援登板した投手は1500人以上いる。特に優秀な救援投手はここ20年に集中しており、このランキングを見ても17人中15人が21世紀以降の投手だ。ホールドの導入などもあり、優秀な投手が救援に回ることが多くなっているのだ。

長いペナントレースを制するには救援投手が不可欠と言える。現代ではドラフトの段階から「救援投手で」という投手も珍しくない。今後も優秀な救援投手が続々登場し、記録が更新されていくことを期待したい。

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