ルーキー守護神、最大の特徴は高い奪三振能力
広島に新たな守護神が誕生した。ドラフト1位ルーキーの栗林良吏である。開幕から22試合連続無失点と鮮烈なデビューを飾ると、最終的に新人最多タイとなる37セーブをマーク。防御率0.86、セーブ成功率100%と抜群の安定感だった。なぜ、ここまでの好成績を残すことができたのか、投球内容をより詳しく探ってみたい。
栗林のピッチングにおける最大の特徴は、三振が極めて多いことだ。アウトの内訳を見ると、実に半分以上の55%が三振によるもの。平均的な投手はアウトの7割近くが味方の守備によるものだが、栗林はバックに頼らずとも多くのアウトを獲得していた。相手打者がなかなかボールを前に飛ばせないことは、僅差のリードを守り抜くクローザーとして、この上ない適性といえるだろう。
高い奪三振能力を支えたカギとして、カウント別の配球が挙げられる。まず0・1ストライクのときは、ストレートを中心に持ち球をバランスよく投げている。栗林は対戦した打者のうち66%を2ストライクに追い込んでいるが、これは投球回50以上の投手の中でトップの割合。球威のある直球に加え、相手に的を絞らせないことで有利な展開に持ち込んでいた。
そして2ストライクになると、極端にフォーク中心の配球となる。2ストライクで落ちる球の割合が増えるのは一般的とはいえ、50%を超える投手は12球団にも数えるほどしかいない。