鈴木、坂倉は成績向上もその他の選手は苦しむ
2021年の広島は昨シーズンの5位からひとつ順位を上げ、4位でシーズンを終えた。10月以降には猛追を見せ、一時はクライマックス・シリーズへの出場権を手にできる3位まであと一歩に迫るも及ばなかった。
野手陣では鈴木誠也がチームを牽引し、小園海斗、坂倉将吾、林晃汰といった若い選手も台頭した。一方の投手陣は、大瀬良大地、森下暢仁、九里亜蓮と3人が規定投球回に到達。抑えには新人の栗林良吏が君臨し37セーブをマークした。
このように個々の成績で見ると充実していたが、チームスタッツはどのように変化したのだろうか。主な打撃スタッツと投手スタッツを2020年シーズンと比較してみたい。
打撃スタッツを見ると、打率が若干ではあるが上昇した。しかし出塁率、長打率ともに減少しておりOPSは.019も下がった。結果的に得点も1試合あたり0.46点減少している。
個人で見ると、鈴木がOPS.953から1.072、坂倉もOPS.758から.857と首位打者を争ったふたりは成績を上げた。その他の規定打席到達者のOPSを見ると、菊池涼介は.757から.762とほぼ横ばい。西川龍馬は昨シーズンの.794からは下がったものの、それでもOPS.733と一定の数字を残した。
一方で林(376打席/.693)、野間峻祥(270打席/.663)と、規定打席には達しなかったものの多くの打席を与えられた若手が、ともにOPSは.700を下回ってしまった。その他の主力では、會澤翼(204打席)が.774から.686、松山竜平(194打席)が.722から.679と、昨年を下回るOPSに終わっている。
また新外国人選手も苦しんだ。2020年シーズンはピレラが打率.266(316打数84安打)、11本塁打、OPS.723の成績を残していた。今シーズンは鈴木とともに右の大砲として期待されたクロンが加入するも、打率.231(130打数30安打)、6本塁打、OPS.701と物足りない数字に終わった。
鈴木と坂倉のふたりは数字を上げたもののクロンが不発。またその他の主力選手の成績が下がった背景もあり、チーム全体としては得点力が上がらなかった。