10月24日に3打数無安打で陥落
シーズン最終盤になって、NPB公式サイトの歴代最高記録にある打率通算記録上位40選手(4000打数以上)の順位に変動があった。
10月23日時点の上位5選手の順位は、昭和50~60年代にロッテで活躍したレロン・リーを僅差で上回っていたヤクルトの青木宣親が歴代1位だった。
しかし翌24日、神宮球場での対巨人25回戦に2番左翼で先発した青木は一邪飛、四球、一ゴロ、三飛と3打数無安打に終わった。その結果、リーと順位が入れ替わって2位に転落。上位5選手のうち、唯一平成デビューだった青木が、ついに首位の座を明け渡した。
早稲田大学から2003年ドラフト4巡目でヤクルトに入団した青木は、2年目の2005年に初規定打席でいきなり.344で首位打者を獲得し、202安打も記録。2007年と2010年にも首位打者を獲得しており、2010年の安打数は209だった。NPBで200安打を2回記録したのは今も青木だけ。まさにNPB屈指の安打製造機だ。
ポスティングシステムでMLBに挑戦した2011年。この時点の通算成績が3900打数1284安打、打率.329と、残念ながら100打数足りず通算打率ランキングに載ることはできなかった。
MLBではブルワーズ、ロイヤルズ、ジャイアンツ、マリナーズ、アストロズ、ブルージェイズ、メッツでプレーし、打率.285をマーク。そしてヤクルトに復帰した2018年5月3日の中日戦で通算打数が4000に到達し、遂に通算打率ランキングに名前が載った。
現役では断トツトップも年齢的に厳しい首位奪還
青木は2位のリーに7厘差をつけてトップ。この年のシーズン打率は.327でリーグ4位、翌2019年も好調で開幕5試合の時点で19打数10安打、打率.526、通算打率も.3299までアップし、リーとの差は最大9厘8毛まで開いた。
当時青木は37歳だったが、打棒は全く衰えなかった。最終的に2019年の打率は.297でリーグ7位だったものの、2020年には打率.317で3位へ盛り返している。しかし今季、打率.258で25位に下がったため、ついに終身打率首位の座を明け渡すことになった。
2018年5月3日から2021年10月23日まで3年5カ月と20日間、試合数にして462試合の間、青木宣親はNPBの首位打者だったのだ。今後も首位を奪還する可能性は残されているが、来年40歳になることを考えると、かなり厳しいと言わざるを得ない。
シーズン終了時点ではさらに打率を落とし.31985となったが、現役では断トツ1位、通算3割は同僚の内川聖一しかいない。青木、内川、巨人の中島宏之が39歳、阪神の糸井嘉男が40歳。33歳の銀次を除き、これから打率を伸ばすのは厳しそうだ。
この5人以外にも、現在はMLBレッズに在籍している秋山翔吾がNPBで4674打数1405安打、打率.301を記録している。秋山は33歳だがNPBに復帰すれば打率アップの可能性がある。
2000打数では吉田正尚がトップに躍進
2000打数以上まで範囲を広げると、2年連続首位打者に輝いたオリックスの吉田正尚が今年2000打数に到達し、1位に躍り出た。28歳と、これから全盛期に差し掛かるところであり、大いに期待が持てるだろう。
3位のソフトバンク柳田悠岐は33歳だが、衰えの兆しはない。来季には4000打数に到達するだろうが、長打だけでなく広角打法もできる柳田も打率を伸ばす可能性がある。
4位の鈴木誠也は打率争いでは不利と言われる右打者だ。しかし2016年に初めて規定打席に到達してから6年連続で3割をマーク、今季は2度目の首位打者も獲得した。まだ27歳であり、右打者打率1位のブーマーに迫る可能性もあるが、鈴木は今オフにポスティングシステムでのMLB挑戦が取り沙汰されており、記録挑戦はお預けとなるかも知れない。
5位の日本ハム・近藤健介は吉田と同じく28歳。選球眼が極めて良い。これは打率を考えれば有利だ。2017年は故障で戦線離脱するまで.413(167打数69安打)という驚異的な打率をマークしていた。
通算打率は息の長い勝負。これから上り調子の若手打者がどこまで記録を伸ばすか、楽しみに見ていきたい。
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